ヒューゴ語録、番外
◇大空洞◇
ユーバー
「さぁ、さっそく始めようじゃないか。」
ルック
「あ・・・あぁ・・・・・・・・・・・・・」
ユーバー
「どうした?いまさら、
ちゅうちょしているわけではあるまいな?
ここまできて、やめるだなんてことを
言うようなら・・・」
セラ
「ユーバー、
どういう意味ですか?」
ユーバー
「おまえの思っているような意味さ。」
セラ
「もしそうなら・・・わたしが相手をしますよ。」
アルベルト
「言い争いをしているほどの時間はない。
我々の行動には、分刻みの精密さと
スピードが必要となる。」
ルック
「すまなかった、ユーバー。
考え事をしていただけさ。
ぼくの決心にゆらぎはないよ。
五行の紋章をこの手に集め・・・・・
この忌まわしき真の風の紋章を破壊する。
それが鎖に繋がれた運命を
断ち切る唯一の方法だからね。」
セラ
「ルックさま・・・・
わたしは、あなたの進む道をただ辿るだけです。」
ユーバー
「わたしの願いは、
ただ・・・・・・・この心の痛みを癒す混沌のみ。
それがある限り、わたしはおまえの盟友で
あり続ける。」
アルベルト
「では、行こうか。
これが、戦いの炎の最初の火花だ。」
アルベルト
「確認する。
この先に、リザードクランの長である
ゼポンの部屋がある。
ユーバーは、そこで定められた
仕事をしてもらう。
われわれは、途中で結界を張って罠を作る。」
ユーバー
「あぁ、まかせておけ。」
ユーバー
「この先だな。」
アルベルト
「あぁ。
ルックさま。われわれは、ここに結界を張り
もう一方の出口で罠をはります。」
セラ
「これで良いはずです。」
ユーバー
「まやかしの術か。
おれは、元の道へもどればいいんだな。」
セラ
「えぇ・・・・・
ここから、追っ手は幻影を
追いかけることになります。」
ユーバー
「じゃあ、行って来るさ。
ゼポンには昔の恨みもあるしな。」
アルベルト
「では、われわれは向こうへ・・・」
ルック
「あぁ。」
セラ
「ここの結界も張り終わりました。
時間がなかったため、完全というわけでは
ありませんがある程度の時間ならば、
彼らには幻影の騎士団の姿が見えるはずです。」
アルベルト
「くれぐれも、彼らを殺さぬようにお願いします。
”目撃者”がいなくなっては、元も子もない。」
ルック
「あぁ。
セラ、魔法の攻撃でも、彼らには
剣での攻撃に見えるのかい?」
セラ
「えぇ・・・ただし、傷口はかくせませんので
火や雷ではなく、風の魔法をお使いください。」
アルベルト
「では、わたしは先に行きます。
偵察に、情報操作に・・・やるべきことは多いし、
戦闘は専門ではありませんので。」
ルック
「あぁ・・・・・・・・・・・」
セラ
「ルックさま・・・・
本当によろしいのですね・・・」
ルック
「決心はした・・・・・そう言ったはずだぞ。」
セラ
「わかりました。」
ルック
「セラ、来たようだぞ。」
セラ
「はい。」
ルック
「これが、アルベルトの言うように、
戦乱を巻き起こす、最初の炎だとしても
ぼくには、それを受け止める覚悟がある。」
◇カラヤクラン◇
ルック
「セラはどうした?」
アルベルト
「先にこの村に向かっていたはずですが、
姿が見えません。
勝手な行動は慎むように
いっておいたのですが。」
ユーバー
「ふん、血の匂いが気に
いらないとでも言うんだろう。
こんなにもかぐわしい匂いをな・・・・」
カラヤの戦士
「お、おまえらは何者だ!!!
ゼクセンの手の者か?」
ユーバー
「ふん、それを知る必要はなかろう。
きさまらの役目は、ここで
死体をさらすことだけだ。」
ユーバー
「こんなところで、いいのか?」
アルベルト
「あぁ、そうだな。
わたしの読みでは、そろそろ
ゼクセンの先行隊が来るはずです。
セラを呼び戻さなくてはいけないな。」
ルック
「わかった、ここはまかせて
おまえたちは、集合場所に行ってきてくれ。」
アルベルト
「わかりました、それでは行ってまいりますが
お気をつけください。」
セラ
「もうしわけありません、ルックさま。
勝手なマネをしました。」
ルック
「それはいいよ。
それよりも、準備をはじめてくれ。」
セラ
「はい。」
ユーバー
「それで、本当にゼクセン騎士団は
来るんだろうな。」
アルベルト
「来ます。
ゼクセン騎士団によって長を殺されたと思っている
リザードクランは休戦協定の場の騎士団に
攻撃をしかける。
騎士団がわずかの手勢しか連れてきていないのは
調査済みだ。
彼らは、グラスランドで包囲され
孤立することになる。
騎士団の軍師は副団長サロメ・ハラス。
その師であるジョアナの書である『軍記』を
聖典としている彼なら、
このカラヤの村に攻撃をしかけることで
包囲を解く策に至るさ。」
ユーバー
「そううまくいくのか。」
アルベルト
「現実は、常に数式のように
原因から結果へと美しく流れ続ける。
人がそれを信じられないのは、
人の限界ゆえの不幸だ。」
ルック
「おまえならば、その限界を超えられると?」
アルベルト
「歴史をあるべき姿に導くこと。
それが、シルバーバーグ家の悲願ですから。」
ユーバー
「たしかに、ここまでは計算どおりのようだな。
来たぞ。」
ゼクセン騎士
「おまえたちは、何者だ!!!
このありさまは・・・・・・・・・」
ユーバー
「騎士の名乗りはしなくていいのかい?
まぁ、関係のないことか。
おまえたちも、この村人と同じ
”怒り”の触媒になるだけだ。」
ゼクセン騎士
「な、なんだと!!!!!」
ユーバー
「だいたい、こんなところか。」
アルベルト
「あぁ、いいだろう。
カラヤクラン、そして騎士団の先行隊
それぞれの死・・・そして・・・・」
セラ
「”怒り”の結界は張り終わりました。
人の感情に作用する魔術は、
効果が条件で大きく変わります。」
ユーバー
「これが、最高の舞台だということか。」
セラ
「えぇ・・・・・・・・・
血塗られた舞台・・・・
わたしは好きになれませんが・・・
ユーバー、あなたの趣味ですね。」
ユーバー
「よくわかっているな。」
ルック
「用がすんだのなら、戻ろう。
姿を見られるわけにはいかない。
それに時間も・・・・・」
◇太古の行路◇
ルック
「これが、シンダルの封印・・・
この先に五行の紋章の一つが眠っている。
まずは、一つ・・・二つの真の紋章が手に入れば
残りを集めるのは容易なことだ。」
ユーバー
「そういうものか。」
「こしゃくだな。
このおれを受け入れないということか。」
セラ
「充分に封印がされています。
シンダルの残したものの他に・・・・
新たなものもあります。
しかし、これは・・・・・・
シンダルのものでも、
ハルモニア流のやり方でもありません。
あまり見ない封印です。」
アルベルト
「どういうことだ?」
セラ
「もともとの封印の他に、
新たな封印がほどこされています。
そして、そのカギがここではない
別の場所に・・・・・
これは、グラスランド独特の
方法なのかもしれません。」
ルック
「下がっていてくれ。
真なる27の紋章の継承者として、
封印を退けさせてみよう。」
(以下、ヒューゴ編と同じ)
◇円の宮殿◇
ルック
「我が主にして、我が父、
全てを統べる神官長ヒクサクさまのもとに
この身、この魂をゆだねることを
喜びと感じます。」
ササライ
「神官長ヒクサクさまより、
あなたに、神官将の位をさずけよとの
お言葉がありました。」
ルック
「光栄です。」
ササライ
「立ちなさい、新たな神官将よ。
きみに、円の紋章の祝福を。」
「”我が父”とは、よく言ったものだよ。
名も顔も明かさぬまま、神官将に任じられるとは
ずいぶんとやり手なんだね。」
ルック
「過ぎた、おせじだとは思いましたが、
気持ちを表したまでです。」
ササライ
「その言葉を信じてもいいのかい?」
ルック
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ササライ
「新たなる神官将に祝福を!!!」
◇ルビーク◇
セラ
「ルックさま・・・・円の宮殿は、
今も変わりないのでしょうか?」
ルック
「あそこに帰りたいのかい、セラ?」
セラ
「いえ、わたしのいるべき場所は
あなたのそばだけです。」
ルック
「セラ・・・・・・・・・・」
セラ
「ルックさま・・・・
準備は整いました。すぐにも出発できます。」
ルック
「・・・・少し待ってくれるかい・・・・」
セラ
「考え事ですか、ルックさま?」
ルック
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「セラ、時の流れの到達する場所、
世界の終焉がきみには見えるかい?」
セラ
「この世界の終焉・・・・ですか?」
ルック
「あぁ・・・・そうさ。
未来が終わる瞬間、それが君には見えるかい?」
セラ
「わたしに宿る力は、そのような
大きなものではありませんので・・・・
ルックさまには、それが見えるのですか?」
ルック
「見える・・・・というよりも、
真なる風の紋章が覚えている
そういうことかな・・・・・・・」
セラ
「それは?」
ルック
「世界の究極の結末は大いなる争いだ。
法の力と混沌の力がその決着をつける最終戦争。
そこに、人の生きる場所はない。」
「それが、定められた未来。
それに逆らうことは・・・・
バランス・・・
世界を統べる天秤と人との戦いだ。」
「それは神への挑戦さ。
そして、人は運命には逆らえない。
それが真なる風の紋章の知っている・・・
いや、望んでいる結末だよ。」
セラ
「未来のことを覚えているとは?」
ルック
「この世界は、幾百万と存在する
世界の一つにすぎない。
そして、こんな戦いは何百、何千回と
繰り返されてきたものなんだろう・・・」
セラ
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
ルック
「でも・・・・・・
ぼくは・・・・・・・・・・・・・」
セラ
「ルックさまは、未来を・・・
運命を変えることを望んでいるのですね。」
ルック
「それは・・・・・人に・・・
許されない行為なのかもしれない・・・
百万の人の命を奪うことになっても
それを望むのは、
許されないことなのかもしれない・・・・
究極の死を知りながら・・・・
世界の死を知りながらも・・・・・
ぼくには、まだ勇気がない・・・・・・・・」
セラ
「ルックさま・・・・・・・・・
ルックさまが、それを望み・・・・・
それを行うのなら、このセラは
付き従うだけです。
ルック様が奪う百万の命に、セラの命も
加えてくださって構わないのですよ。」
ルック
「ぼくの命も・・・・
その一つさ・・・・・・・・・」
セラ
「それならば、わたしには何の不安も、
何も心配もありません。
信じる道ならば進むのでしょう。
それは、人の性なのですから。」
ルック
「ありがとう・・・・・・セラ・・・・・・」
◇カレリア◇
ユーバー
「結局、火の紋章の封印はニセモノ。
水の紋章の封印は、手に入れる前に姿を消した。
どうにも、うまくいかないようだな。」
セラ
「ハルモニア本国軍を使った侵攻は
予定を遅らせましょうか?」
ルック
「いや、スケジュールは変えない。
神殿も、いずれぼくたちのやろうとしていることに
気づくだろう。
その前に、全てを終わらせる必要がある。」
セラ
「時間がなさすぎますね。」
ルック
「あぁ・・・だが、この機会を逃せば
5つもの真なる紋章を集めることは
二度とできないだろう。」
ユーバー
「時間?
時間ならいくらでもあるだろうが?」
ルック
「ぼくは、おまえほど
我慢強くはないからね。
それよりも、アルベルトは?」
セラ
「ここで、待ち合わせのはずですが
探してみましょう。」
ユーバー
「おそかったな。
時間にうるさいお前にしては
めずらしいことだ。」
アルベルト
「失礼しました。
気になる情報を手にいれましたので。」
ルック
「情報?」
アルベルト
「えぇ、ササライどのの部隊に同行して
チシャクランの村を攻略したのですが、
わたしが戻った後、”炎の英雄”を名乗る少年が
現れたという話がありまして。」
ユーバー
「チシャクランの村?
あぁ、あのチンケな村か。
あんなころで、てこずるとは
正規軍などとはいえ、たいしてことないな。」
アルベルト
「あれは、偵察部隊だからな。
そんなもんだろう。」
ルック
「それで、その”炎の英雄”を
名乗る少年というのは?」
アルベルト
「まぁ、あそこには小賢しい事を考えている男が
一人いましたから、なんらかの策略でしょうが、
その後、残しておいた手の者によると
チシャ村北の山に向かったとのことです。」
セラ
「どういうこと?」
アルベルト
「えぇ、気になりまして調べたのですが
50年前の侵攻時に、ハルモニア本国軍が
そこで、シンダルの遺跡の調査を行った記録が
残っていました。
それに、かつて炎の運び手を率いた
”(英雄の名)”の生家もこの近くにあった
らしいという報告も見つけました。」
ルック
「気になるな・・・・・・
シンダルの遺跡があるのなら、
近くまでいけばセラには、
その存在がわかるだろう。」
アルベルト
「はい。
では、すぐにご出発に?」
ルック
「ちょっと、待て。」{1}
「あぁ。」{3}
{1}
ルック
「ちょっと、待て。」
アルベルト
「はい、何かお考えがありますか?」
ルック
「いや、もう少し
ここで用がある。」
アルベルト
「では、そろそろ出発しましょうか?」
ルック
「いや、まだだ。」{2}
「あぁ。」{3}
{2}
アルベルト
「わかりました。」
アルベルト
「では、そろそろ出発しましょうか?」
ルック
「いや、まだだ。」{2}
「あぁ。」{3}
{3}
ルック
「あぁ、
行って見よう。」
アルベルト
「では、用意を整えさせましょう。」
◇炎の英雄の眠る場所◇
ユーバー
「ここに炎の英雄が・・・・
真の27の紋章を持つ者がいるんだな。」
ルック
「セラ、何か感じるか?」
セラ
「いえ・・・・でも・・・・・」
「ルックさま、いまの・・・・・・・・・」
ルック
「あぁ、ぼくにも感じられた。
真の火の紋章がこんなところに・・・・・・・
しかし、封印を自ら解くとは、どういうことだ?」
セラ
「まさか・・・・継承者が・・・・・・」
ルック
「さあね。
そうだとしても、奪い取るだけだよ。
急ごう。」
ルック
「これは・・・・・・」
セラ
「封印ですね・・・・
これも、シンダルの遺跡の封印に
後から手が加えられたものですが、
ゆるめられたみたいですね。」
ルック
「それで、さっきの・・・・・・・
セラ、たのむ。」
セラ
「はい・・・・・・・・・・・・・・」
ルック
「これで、真の火の紋章も・・・・
くっ・・・・・・・・・」
セラ
「しかし、真の火の紋章に新たな継承者が
生まれたことにより、
(英雄の名)の名によってほどこされた
封印は弱まっています。
アルマ・キナンの封印も失われた今なら・・・・」
ユーバー
「それがダメだったら、どうする?」
ルック
「ぼくに考えがある。
しかし、あの少年の目は・・・・・・
まるで、かつての・・・・・・・」
◇シンダル遺跡◇
セラ
「あれは・・・・・・・・・・・」
ルック
「どうした、セラ?」
セラ
「いえ、どうやら後をつけているものが
いるようです。
それも・・・・これは真の紋章の継承者・・・
ルックさま、わたしはここに残って
彼らを近づけないようにいたします。」
ルック
「セラ・・・・・・・わかった。
気をつけろよ。
相手は、まだ受け継いだばかりとはいえ
真なる紋章の継承者だ。」
セラ
「わたしの命は、あなたに捧げました。
そのような気遣いは不要です。
それよりもルックさまこそ、
お気をつけて・・・・・」
ルック
「セラ・・・・・・・・・・・・・
頼んだ。」
ルック
「くっ・・・・・・・
よくも、こんな・・・・・・・・・・・・」
ジンバ
「お・・・・おまえらに
奪われるくらいなら・・・・・」
アルベルト
「紋章の暴走が何を引き起こすか
知らないわけでもあるまい、
50年前にその目で見ていたはずだぞ。」
ジンバ
「あ・・・あぁ・・・・・・・・・・
だからこそ・・・・
おまえらには・・・・・・・・・
真の・・・紋章は・・・・わたすわけには・・・」
アルベルト
「いいのか?
おまえも、この遺跡も・・・そして、
グラスランドのこの辺り一帯も全て
ふきとぶことになるんだぞ。」
ジンバ
「それが・・・・どうした?
おれには・・・・・・
精霊の加護があるんだ・・・・」
ユーバー
「ふん。
迷信を。」
セラ
「い、いったい何があったのですか?」
ルック
「だ・・・だいじょうぶだよ・・・・セラ。」
セラ
「ル、ルックさま・・・・・・・・・・
ルックさま・・・・・・・・・
あなたが、いなければわたしは・・・・・」
ルック
「だいじょうぶ・・・・
だいじょうぶだよ・・・セラ・・・・」
ユーバー
「しかし、これはやっかいなことになった。
一度、逃げたほうがいいな。」
アルベルト
「えぇ・・・・・その後に回収を・・・・・」
ジンバ
「へへ・・・てめぇ・・・・・・・・
真の紋章の・・・
風の紋章の継承者なんだろ・・・・
精霊が・・・教えてくれたんだ・・・・」
ルック
「それがどうした?」
ジンバ
「てめぇ・・・・いったい・・・・何年生きた?」
ルック
「30年・・・・・呪われた30年だ。」
ジンバ
「へっ・・・・ひよっ子じゃねぇか・・・・・
それじゃあ・・・
子供なんかいねぇんだろうなぁ・・・・・」
ルック
「呪われた身で、そんな気持ちを
いだくわけがあるまい?
未来を持てない身なのだぞ?」
ジンバ
「けっ・・・・・バカ言ってらぁ・・・・
おれにはなぁ・・・娘がいる・・・・・・・・・
70年生きてきて、たった一人の娘だ・・・
おれも、てめぇと同じことを考えて・・・
逃げてばかり来たし・・・娘ができたときは・・・
その意味に恐れをおぼえたもんさ・・・
それがな・・・・つい、この間・・・
再会することができた・・・
顔を見ることができた・・・・・・
ははは・・・・それこそ・・・
びっくりするぐらい・・・
美人になってた・・・・・
アンナ、そっくりだ・・・
うれしかったぜぇ・・・・・
運命を憎んできた全ての時間を
ふきとばすぐらいになぁ・・・
こいつが、この世界で生きていくんなら、
おれは死んでもいいって思った・・・・・・・・
その娘がここに来る・・・・・
想いを受け継ぐために・・・・・・・
これはな・・・・・賭けたっていい・・・
最高に素晴らしい体験だぜ・・・・」
ルック
「何が言いたい。」
ジンバ
「託すことができない生は・・・
虚ろだと言っているんだよ・・・・・・
おれたちは、不老であっても
不死ではない・・・・
永遠の生なんて、幻想さ・・・・
おれや・・・・おまえも・・・・
いずれ消える・・・
なら・・・・・・・・・・・」
ルック
「想いなどという不確実なものの連鎖を、
ぼくは、断ち切ってみせる。
この手で・・・・・・・・・・・」
ジンバ
「ふん・・・・やっぱガキだな・・・・・・・」
ユーバー
「まだ息はあるな。
トドメをさすか。」
ルック
「いや・・・・・そのままにしておけ・・・・
希望にすがる哀れな男だ。
どうせ、助からない。」
◇円の宮殿◇
ササライ
「それでは・・・やはり、あの男の狙いは・・・」
ナッシュ
「はい。
五行の紋章を、ハルモニアのためではなく
自ら手にするために動いていると
思われます。
特に、侵攻前のリザードクランや、
カラヤクランでの騒動も、
軍を動かすために、彼らが引き起こした
可能性が高いと思います。」
ササライ
「それならば、すぐにも・・・・・・・・
誰だ!!!!!!」
ルック
「やっと気づいたのかい。
ずいぶんと、無用心だね。」
ナッシュ
「これは・・・・ササライさまの・・・・・」
ササライ
「お・・・おまえは・・・・・・・・・
15年前に・・・・・・・・・」
ルック
「あぁ、そうさ。
その15年を無為にすごしたようだね、
兄さん。」
ナッシュ
「ここは、人払いをしてあったはずだ。
神殿のしきたりを破るつもりか?」
ルック
「それに従う理由もなくなったんでね。
兄さん、あなたの持っている”真の土の紋章”を
渡してもらうよ。
最後にしようと思っていたんだけど、
計画が狂ってね。」
ササライ
「何を言うんだ!!!
おまえは何者だ!!!!!!!!!!」
ルック
「ぼくが何者か?
良いよ。おしえてあげる。
ぼくとあなたが何者なのか、教えてあげるよ。」
ササライ
「ぼくときみが・・・・?」
ルック
「あぁ・・・そうさ。
ぼくらが何者なのかね。
ルック
「ハルモニア神聖国の、いや・・・神官長ヒクサクは
真なる27の紋章を
全て集めることを欲している。
しかし、真の紋章は、紋章に認められた継承者しか
その身に宿すことはできず、
また、封印することができる場所も
かぎられている。」
ササライ
「それで・・・・・・・・・」
ルック
「それで、ヒクサクはある秘法を手に入れたのさ。
自分のもとに、真の紋章を留めておく秘法をね。」
ナッシュ
「な、なんだ。」
ルック
「封印球さ・・・・ただし、普通のじゃない。
真なる27の紋章を封印するためのものだ。
この中身が何かわかるかい?」
ササライ
「それは・・・・・
まさか・・・・・・・・・・・
でも・・・・この感じは・・・・・・・・・・・」
ルック
「そうさ・・・・・ぼくら自身だ・・・・・・
手、足、頭、目、鼻、口、全てが
この乳白色の液体のなかに
とけこんでいる。
人間の材料だよ。
そして・・・・・・・・・・・・・・」
ササライ
「ウ・・・・・ウゥゥ・・・・・・・・・・・・・」
ルック
「見るんだよ!
兄さん!!!!!!!!!!!!
これが、
ぼくたちだ!!!!!!!!!!!!!!!
真の紋章を宿すために・・・・・
それを核に作られた生き物だ・・・・・・・
人間の形をした何かだ・・・・・・・・・
継承者たるヒクサク自身の
不恰好な複製だ!!!!」
ナッシュ
「くそっ!!!!」
ルック
「真の土の紋章は、もらいうけて行くよ。
あなたには、必要のないもののはずだ。」
ササライ
「し・・・しかし・・・・・・・・・・・・」
ルック
「それとも・・・・それを知っても・・・・
あなたには生きていく力があるというんですか?」
ササライ
「うっ・・・・・・・・・・・・・・・」
◇ルビーク◇
セラ
「ほぼ、準備は終わりました。
アルベルトとユーバーが仕上げをしています。」
ルック
「そうか。
セラ、疲れたかい?
そういう顔色をしている。」
セラ
「えぇ、少し。
大掛かりな幻は、体力を使います。」
ルック
「身体には気をつけてくれ。
ハルモニア軍の後ろ盾を失った今、
その力が、頼りだ。」
セラ
「はい。」
「ルックさま・・・・・・
やはり、儀式は行うのですか?」
ルック
「もちろんだ・・・・
それだけが、今のぼくの望みなんだから。」
セラ
「そう・・・ですか・・・・・・・・・」
◇儀式の地◇
ルック
「ついに、ここまで来たな・・・・・」
セラ
「えぇ。
これで、ルックさまの願いが
かなえられるというのですね。」
ルック
「あぁ。
30年以上もの長い年月に、
ピリオドを打つことができる。」
ユーバー
「真の紋章の破壊、
それは、真の混沌を生み出す。
おれにとっては、望みの未来だが
人間たる、おまえにとってはどうなのだ?」
ルック
「ぼくが人間だって?」
「これを見るがいいさ・・・・
この透明な球体の中につまっているもの。
乳白色の液体の中に浮かぶ不気味な人のパーツ。
ぼくは、その集まりでしかないのさ。
真の紋章を、ここにつなぎとめておくためのね。
そんな存在が、人間だといえるのか?
きみと同じだよ、ユーバー。」
ユーバー
「おれと?
冗談ではない。おまえは、結局のところ
人間を憎んではいないではないか。
人を運命の輪から自由にしたいのなら、
簡単な方法がある。」
アルベルト
「その答えが”死”であるなら、
遠慮してもらいたいな。
世界を動かすのは、
まだまだ人の力であるべきだ。」
ユーバー
「ふん、逃げたのかと思っていたぞ。
ずいぶんと、うまく取り入ったようじゃないか。」
アルベルト
「もちろん、それが最初からの目的ですから。
しかし、ご安心を。
この儀式をジャマする気はありません。」
ルック
「それをするつもりだったら
この場で、その命を刈り取っているところだよ。」
セラ
「ルックさま・・・・・・・・・」
アルベルト
「さぁ、時間です。
そろそろ、外に炎の運び手の連中が
やってきますよ。
あなたが、命を刈り取らずに
残してきた連中がね。」
ルック
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
アルベルト
「この世界への未練ですか?」
ルック
「いくぞ、セラ、ユーバー。」
「未練はない・・・・
ただ、彼らによく似た者たちを
昔知っていた・・・・それだけだ・・・・・」
ディオス
「ふーむ、われわれは運が良いみたいですよ。
紋章を守る番人がいないようですね。
ラッキーですね。」
ササライ
「そうだな。」
トーマス
「本当に、誰もいないのかなぁ・・・・・」
ディオス
「おいおい、このわたしがいないと
言っているんだよ。
気のせいだよ、気のせい。」
セシル
「だ、だれかいますよ!!!!」
ディオス
「その手は古いなぁ、
ハルモニアでは、子供でもひっかかりませんよ。」
ササライ
「ディオス!」
ディオス
「え?」
ササライ
「おまえは!!!!!」
ルック
「温室暮らしの神官将が、こんなところまで
乗りこんでくるなんて、
感心したよ、兄さん。」
ササライ
「真の土の紋章を返してもらい、
同時に、おまえの真の風の紋章も
ハルモニアに持ちかえる。」
それは、もともとハルモニアのものだ。
魔女レックナートが、おまえとともに
クリスタルバレーから奪いさったものだ。」
ルック
「・・・・・・・・・・・・・・・・・
そんな話は、ぼくを倒してからにしてみろ。」
ディオス
「そんな話はわたしを倒してからにしてみろ」(※)
「ぐおおおおおおお!!!!!
くっ・・・・す、すいません・・・・
ササライさま・・・・・・
わたくし・・・こういうのは苦手でして・・・」
ササライ
「ディオス・・・・
いい、こいつはわたしが相手をする。」
セシル
「わ、わたしも・・・・・・・・・」
ササライ
「いや、下がっていてくれ。
こいつとは、わたしが決着をつける。」
ルック
「勝てるつもりなのかい・・・兄さん。」
セシル
「そうはさせません!」
トーマス
「そ、そ、そうだ、
あ、あ、あっちに行け!」
トーマス
「だ、だめだぁ!
ササライさんに、真の土の紋章を
とりもどしてもらうまでは・・・」
セシル
「そ、そうです、絶対だめです。」
トーマス
「だ、だ、だめだぁ・・・・
ぜったい・・・・そうは・・・させない・・・」
セシル
「そ、そうです、トーマスさまの言うとおりです。
絶対、絶対、だめです。」
ルック
「なぜ、そこまでする。
次は死ぬよ・・・・・・・・・
少しでも長く生きていたほうがいいだろう?」
トーマス
「それは、そうだけど・・・
でも、ダメです。
城のみんなに約束したんだから、
みんなを守るって、その城を守るって
約束したから
だから、ダメです。」
セシル
「わ、わたしも、トーマスさまを守るって
約束したから、絶対だめです。」
ルック
「みんなと約束?
そんなことで・・・・・・・・・・・」
「今度は、火の紋章の封印まで・・・・・・
4つのうち、3つまで
奪われるとは・・・・・・・・」
ササライ
「ど、どこへ行く。」
ルック
「この土の紋章だけでは、
いずれ結界が壊される・・・・・・・
それなら、儀式を急ぐだけだ・・・」
ササライ
「わたしを放っていっていいのか?
真の土の紋章を奪いかえすぞ。」
ルック
「兄さん、ぼくはね
あなたがこの世界で、一番憎い。
だが、この世界で唯一哀れみを感じる
相手なんだよ。」
ササライ
「ルック・・・・・・・・・おまえは・・・・・」
ルック
「これが最後の戦いになる・・・・
定められた運命から、
人が逃れ得るかどうかの・・・・
ぼくは、そのために100万の命を
犠牲にしようとする悪鬼だよ・・・・・
そこで、命ついえるまで見ているがいい・・・」
ルック
「ぐはっ・・・・・・・
くっ・・・・・・・・・・・・・・・・・」
セラ
「ルックさま・・・・・・・・・・」
「ルックさま・・・・・・
だいじょうぶですか・・・・・・・・・」
ルック
「セ、セラか・・・・・・・
五行の紋章の力を集めて・・・・
ぼくの中の真の風の紋章を壊そうとしたが・・・・
結局は、その力を引き出すにとどまった・・・
そして・・・その暴虐な力に・・・・
ぼくの魂は耐えられなかったよ。」
セラ
「ルックさま・・・・・・・
それでは・・・・・・・・・・・・・・」
ルック
「やがて、この遺跡もくずれる・・・・
セラ・・・きみは逃げるんだ・・・・・・・・・
付き合うのはここまででいい・・・・」
セラ
「いえ・・・・・わたしは、
100万の命よりも、あなたを選んだのです。
それは、許されることではありません・・・」
ルック
「セラ・・・・・・・・・・・」
セラ
「わたしは・・・・あの神殿で、
一人ぼっちで暮らしていました。
誰一人として、わたしの力を欲しても
わたしを欲してくれる人はいませんでした。
ただ、あなたをのぞいて・・・・・・・・・」
ルック
「ぼくも・・・・きみの力がほしかっただけなのかも
しれないんだよ・・・・・・・・・」
セラ
「いいんです。
わたしが、そう思えることが
大事だったんですから・・・
その喜びだけで、わたしはあなたを
選んだのですから・・・
その罰は受けましょう・・・・・・・」
ルック
「・・・・・・・・・・・・・・・・
でも・・・・やっぱり、
きみだけでも・・・・・・」
「セラ・・・・・?」
「セラ・・・・・・・・・・・・・
ありがとう・・・・・・・・・・・・・・
ぼくの魂も救われる・・・・・・
ぼくには、ないと思っていた魂の存在を・・・
今は確信できる・・・・・・・」