38.本能に従え
ときどきふと、どうしてこんなことになったのだろうかと思うことがある。こんなことをしていて、いいのだろうかと。
例えば、まさに受け入れている、そんなとき。
つまり、今。
「・・・ぅ」
入ってきたものの質量に思わず声をもらすと、楽太は少し動きをとめてこっちを窺った。しかしすぐに動きを再開する。挿入に伴う苦しさや痛みやなんて、一瞬のものでしかないことを知っているからだ。
楽太との性行為は、これで数十回目どころかもう数えきれないほど目。おかげで、すっかり体は楽太とセックスすることに慣れてしまった。正確に言うと、楽太を受け入れることに、だ。
「・・・っは」
少しずつ入ってくる楽太に、やはり痛みなどはほとんど感じられない。それよりもこの体は確かな刺激を求めて、なんともいえないむず痒さを伝えだすのだ。
こんなふうに、どう見ても喜んで男に抱かれている自分を、ときどきふとそれはどうなんだと考えないでもない。おそらく一般的な男よりは抵抗感を感じていないと思うし、少々感じたからといってやめる気もないが。
それから、目の前のこの少年。いや、もうとっくに青年と呼べる年なのだが、外見はどう見てもまだせいぜい中高生で、自分より年も背も体も手もついでにアレまで小さいのだ。
それなのに。
「センセっ」
ときどき無意識に名を呼びながら、夢中になったように嬉しそうに、自分を抱いている。そして、そんなふうに抱かれて、やはり自分はこうすることが好きなのだと知る。
いや、抱くほうであろうと抱かれるほうであろうと、どちらでも構わなかった。重要なのは、こうして近くに感じられること、肌と肌を触れ合って、同じ密度の空間と時間を過ごせること。
そんなのを得たくて、ときどきふと感じる少しの疑問もすぐに消え去って、何度も体を繋げるのだ。
それが何故かなんて、楽太のことが好きだから、結局はそんな理由。好きという感情だって、結局は理性の働かないところにある。
だからそれは、もう本能に近い――。
END
筋を見失ってた話を、お題を付けて強引に終わらせました。
確か「生々しいエロ」を目指してた話だった。
けど、挫折したっていうか、放置されてた。
そしてこんな謎な話ができあがったわけですじゃ・・・。
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