#Dream 





「センセイっ!」

 突然訪ねてきたオレを見たセンセイは、とっても驚いた顔をした。いつもは驚いててもほとんど顔に出ないセンセイだけど、さすがに今は一目見て驚いてるってわかる顔だ。

 センセイは突っ立っててなかなか中に入れようとしてくれないからオレは勝手に入る。するとセンセイはまだボーっとしたかんじでオレを目で追いながら呟くように言った。

「・・・お前、楽太なのか?」

「あーっ、ひどーいっ」

 そう言いながら、でもその反応は予想通りだったからオレは笑った。

「オレがちょっとおっきくなったくらいでわかんなくなんないでよっ」

「ちょっとか?」

 驚きが少々治まったらしく、しかしまだ釈然としないらしいセンセイはオレを訝しげに見る。

「ちょっとていうか、120%増量てかんじ?」

「二倍くらいあるように見えるな」

「そんなにオレちっちゃくなかったよっ」

 なんかセンセイもういつもの調子取り戻してるや・・・。

 ちょっとガッカリするオレにセンセイは近付いてきて、頭に手を遣ってきた。その動きがぎこちないのは、仕方ないよな。

 今のオレの身長は、並んで立つと190くらいあるセンセイよりもちょっと高いくらいだ。もちろん縦に伸びただけじゃなくて、ちゃんとそれに見合うくらい体格もしっかりしてる。

 立ってる状態なのに見上げることなくセンセイと目が合うなんて、なんか感動するな。首も痛くなんないし。逆にセンセイはオレの頭を撫でるには結構腕を上げないといけなくて、しばらくして疲れたのか腕を下ろした。

「・・・で、どうしてこうなったんだ?」

「薬、飲んだ。母さんが勤めてる会社で作ったんだって。試しに使わせてもらったんだ」

「・・・・・・」

 センセイはやっぱりまだ驚きが消えてないみたいだ。驚きってより戸惑いってかんじかな。でも、それはオレも同じだけど。

 薬飲む前は絶対ありえないって思ったし、こうなった今でもまだ変なかんじだもんな。でも、せっかくこうなれたんだから、楽しまないと損だってオレは思い直したんだ。

 オレはセンセイに抱き付いた。いや、いつもだったら「抱き付いた」だろうけど、今は間違いなく「抱きしめた」だ。背中にも余裕で腕がまわる。オレが大きくなったわけだけど、なんかセンセイが小さくなったように思えちゃうな。

 こんなふうに抱きしめることって、最近はそんなにていうか全くこだわりなくなったけど、昔はやっぱり憧れとかあって。だからそれが叶って、ちょっと嬉しい。

 でも、オレがおっきくなりたいってちょっとばかし思ってるのは、そんな理由や体格負けてることが男として悔しいからとかじゃないんだ。

「ね、センセイ、エッチしよっ! オレおっきくなったから、いろいろしようっ!」

 抱きしめる力を強めて、オレはウキウキしながら言った。オレがおっきくなりたいって思うのは、そのため。オレがちっちゃいから、いっつもあんまり変わったことっていうか違う体位とか出来ない。でもオレでっかくなったから出来るもんねーっ。

「ねっ、しよしよっ!」

 オレはおとなしくオレの腕に収まってるセンセイにねだるように言った。よく考えたらこんな図体でこんな甘えるみたいなこと言うのって不気味な気もするけど、でももう癖になってるから直せないしな。

「・・・なんか」

「何?」

 ふとセンセイが身動ぎして口を開いたから、オレは答えかと思って聞き返した。

「顔見ないで声聞かないと、お前じゃないみたいだな」

「ええっ」

 センセイがオレ以外のヤツに抱きしめられてる気分になるなんて嫌だなっ。オレは慌てて体をちょっと離してセンセイに顔が見えるようにした。

 するとセンセイは微かに笑い、オレの頬に手を遣って、キスしてきてくれる。オレはしてもいいって許可が出たんだと判断して、ニヤけながらそれに応えた。





「それで、いろいろって、何がしたいんだ?」

 ベッドに向かい合わせに座って、センセイが少し、ほんの少しだけ、嫌そうに聞いてきた。

「言ったらさしてくれる?」

「少なくとも言わないとさせない」

 ううっ。やっぱり体が大きくなっただけじゃセンセイには敵わないや。まあ別にそれが不満てわけでもないんだけどさ。

「じゃ、じゃあ・・・」

 ともかくオレはセンセイがしてもいいって言ってくれそうなことを考えた。

「あ、そうだっ、センセイ見てよっ」

 オレはハッと気付いて、ズボンの前を開けて期待感とさっきのキスでもう成長始めちゃってるものを出した。

「ほらっ、センセイのよりおっきいくらいでしょ!」

「これこそ二倍になったってかんじだな」

「そんなにちっちゃくなかったってばっ」

 ううっ。すごいなあくらい言って欲しかったけど、そんなふうに言われるとこうなる前のオレの立場がなくなるじゃんか・・・。

「ね、せっかくだから、これ、してよ」

 オレは膝立ちして、いつでも来てというふうに手を広げた。するとセンセイはどうやらやってもいいらしく近付いてきた。まあ、サイズは少々違うけどこれはよくやってることだもんな。

 センセイはオレのに手でちょっと躊躇いがちに触れてきて、その大きさを確かめるようにそっと撫でる。前のオレのとでかさ比べられてたらちょっと切ないな・・・。

 しばらくそうやって手を緩く動かしていたセンセイは、口をやっぱりちょっと躊躇いがちに寄せてきた。いつものようにさきっぽに軽くキスしてから全体を舐め上げていく。

「・・・ぁ、んっ」

 大きさが違うことは舐めるぶんには関係なくて、相変わらず丁寧なセンセイの舌使いにオレはすぐ声を抑えられなくなってくる。ううっ、センセイやっぱりこれ上手いなぁ。それに、やっぱりこれしてるときのセンセイの姿はなんかエロいしさ。いつもよりちょっと上向きの顔は普段通りクールだけど、やってることと対照的なそれが余計にいいんだよな、うん。

 センセイは一頻り舌で愛撫すると、今度はそれを咥えようと口を開いた。いつもより大きく開けられた口にオレのが飲み込まれていく様子は、やっぱりすごくエロい。センセイのおかげで益々でっかくなってるから、少し苦しそうに眉をしかめながら、でもなんとか口や舌を動かす。そのいつもよりちょっと必死そうに見える様子が、なんか、グッとくる。

「センセっ、オレ、も・・・っ」

 さっさと限界がやってきて、オレはセンセイを髪を引っぱって離そうとしたけど、全然間に合わなくってそのまま口の中に出してしまった。それ自体は、まあいつものことなんだけど、でも丁度奥のほうまで咥えてたらしくセンセイは思いっきり咳き込んだ。

「セっ、センセイ、だいじょーぶ?」

「・・・・・・、・・・はぁ、平気だ」

 センセイは咳が一段落すると呼吸を整えながら口元を拭った。

「ごめん。今度はオレがセンセイのこと気持ちよくするねっ」

 申し訳ないって思ったけど、早くその先に進みたくってオレはセンセイをうしろに押し倒した。倒したってより、力が強くなってるの忘れてていつものように力任せに押しちゃったから、一緒に倒れこむみたいになる。

「お前、ちゃんと加減しろよ」

「う、うん、ごめん。なかなか慣れなくってさ」

 エヘヘと笑いながら、オレは今ならセンセイに力で勝てるかもしれないと思ってちょっとドキドキした。だからってまあなんにもしないけどさ。

 オレはセンセイのシャツを開きながらいろんなとこに口付けたり触ってった。唇や舌で触れる感触はもちろんいつもと変わりないんだけど、手は結構大きくなってるからいつもとちょっと違うかんじがする。いつもは大きくって手に余るセンセイのも、今はすっぽりとはいかないまでも結構ちゃんと収まった。

「・・・っは」

 さっき言われた通りに加減しながら扱きだすと、センセイがはく息にも熱がこもってくる。元々低い体温が段々上がっていく、そのかんじがすごい好きなんだよな。

 オレはセンセイのを左手に持ち替えて、右手でその奥を探りだした。いつものオレのよりちょっとおっきいからいつも以上にちゃんと慣らしとかないといけない。そう思ってまずは人差し指を入れると、センセイは痛みのせいか異物感のせいか苦しそうに眉をしかめる。

「・・・っ、う」

「あ、ご、ごめん。ちょっと我慢して」

 指がちょっと太いせいかいつもより進めるのにてこずったけど、でもすぐにセンセイの内側はそれに慣れてきてだいぶスムーズに動かせるようになった。オレはセンセイが気持ちよくなれるところを擦りながら、頃合を見計い中指も入れてそっちは奥のほうまで拡げるように動かす。

「ね、センセイ、もういい?」

 さっきしてもらったのにもう我慢出来なくなってきてそう切り出したオレに、センセイは軽く頷いてくれる。許しが出たから早速入れさせてもらおうと思ったオレは、ハッと気付いた。思わずいつも通りにしてしまいそうになったけど、そういえば普段出来ないことをするんだった。

「センセイ、あれやってもいい? あのさ、向かい合って、オレがこんなふうに座って、センセイがここに跨るように座るってやつ」

 オレはさっき思い付いたのを思い出して、体を起こして身振り手振りでなんとか説明した。

「これなら顔見えるし。い、嫌ならいいけどさ」

 懇願したいところだけど、気が進まないのに仕方なくでさせたくはないしな。そう思いながらもどうしても目線がねだるかんじになってるオレに、センセイは上半身を起こして答えた。

「・・・いいよ」

「えっ、ほんとっ? やった!」

 言ってみるもんだ。無理だろうって半分くらい思ってたオレは嬉しくなって手を広げた。そんなオレを見てセンセイは揶揄うように笑う。

「もう二度と出来ないだろうしな」

「それはわかんないじゃんかっ」

 なんて、まあオレもそんな気はするけど。だからこそ今やっときたいわけで。

 手を広げたまま待つオレに、センセイはまだ身に付けていたシャツを脱いでから近寄ってきた。そしてオレの肩に手を掛けて、伸ばしているオレの足の両脇に膝をつく。

 オレは左手をセンセイの背中に支えるように添えて、ちょっと時間経ったからもう一度うしろに手を遣って軽くほぐした。

「センセイ、腰、下ろして。ゆっくりでいいから」

 その言葉にセンセイは下を窺いながら腰を下ろしだす。オレの言う通りにしてくれるセンセイなんて、なかなかないから貴重だよな。肩に置かれてるだけだった手も、いつの間にか縋るようにまわされている。この体位といい、オレの一生の記念にしよっと。

「あ、もう少し、うん、入りそう」

 なんとかその位置にもってくると、センセイはちょっとずつオレを受け入れていった。

「・・・っん」

 初めての体勢のせいかいつもよりちょっと大きいオレののせいか、センセイは少し苦しそうだ。なんかオレさっきからセンセイに無理ばっかさせてる気がするな。でも、センセイは嫌だったら絶対そう言うもんね。

「センセイ、つらい? でもすぐに気持ちよくなれるからっ」

 見上げて自信満々に笑うオレに、センセイは何か言いたげに口を開くけど、出てくるのは吐息とまだ少し苦しげな声だけだ。なんかオレ今ちょっとだけセンセイに勝ってるかんじ? まあ、そんなちょっとした優越感や余裕なんてすぐに消えちゃうだろうけどさ。

「センセっ、もう動かしていい?」

 なんとか一応全部収めたとこで呼吸を整えていたセンセイに、オレはすぐ上にある顔にキスしながら尋ねた。センセイは軽く頷いてくれる。

 オレはまだ膝をついて体重を預けていないセンセイの足を抱えるように持ち上げた。今の体格だからこそ出来ることだよな、これって。

「っう、あぁ・・・っ」

 支えを失ったから自分の体重分奥のほうまでオレのが入ってきたみたいで、センセイは苦しそうなでもそれだけじゃない声を上げる。その不安定な体勢のせいか、センセイの中はオレをいつも以上に締め付けてきて、すごい気持ちいい。

 なんかあんまり持ちそうにないんでオレはさっさと動きだした。足を抱えながら体を揺するようにし、同時に腰も突き上げる。オレの力が強くなってるっていってもセンセイの体格だって変わってないわけで、結構手とかしんどいんだけど、それでもとまれない。

「セン・・・っセ、い、っい?」

 尋ねておきながら、オレには返事を聞く余裕なんかなくって、ただ夢中で体を動かす。でもセンセイだってきっと答えてる余裕はないはずだ。荒い呼吸と声が絶え間なくもれてて、たぶんセンセイも、夢中。

「・・・っは、ぁあ」

「んっ、センセ・・・っあ」

 一際深く抉るように突くとセンセイは息を飲んで体を震わせた。同時にオレもグッと締められてその中に自分を解放してしまう。

 オレは息を整えながら肩に凭れるように顔を寄せてきたセンセイを抱きとめた。こんなふうに支えることが出来るなんて、すごく気分がいいな。もちろん気持ちも、すごくいいけどね。





「うん・・・あっ」

 オレは何度目かの絶頂をセンセイの中で迎えた。肩で息してると目の前に同じように荒い呼吸で上下する背中が見える。そういやエッチしてるときセンセイの背中見ることないもんな。顔が見えない体位はやめとこうと思ってたのについうしろからやっちゃったけど、やっぱこれはこれでいいとこあるよな。オレは普段なかなか触れられないその背中に口付けた。

「・・・・・・お前、まだするつもりか?」

「えっ、もう駄目っ?」

 センセイは一向に衰えないオレのを中に感じてか、布団に体を預けて疲れた声を出した。

「いつ戻るかわかんないから、せっかくだからいっぱいしとこうよっ」

 オレは体を少し離して一旦引き抜いて、でも引く気は全然ない。するとセンセイは仰向けになってそんなオレを見上げた。

「・・・あんまりしたら、こっちのサイズに慣れて元の大きさに戻ったとき物足りなくなるかもしれないぞ」

「うっ」

 それは困る、ていうか哀しい。

「じゃ、あと一回だけっ。それで最後っ」

 言ってオレはセンセイが返事する前にさっさと足を抱えた。センセイは少し呆れたような目を向けてきながらも抵抗はしないので、オレはもういっぺんセンセイの中に入ってった。

 そして動きだそうとして、オレはふと気付いてセンセイの顔に手を遣って口付けた。

「こうやって、繋がったままキス出来るって、いいね」

 いつもは届かなくて出来ないから、オレはちょっと嬉しくなる。思わずエヘヘと笑ったオレに、センセイは予想していた憎まれ口じゃなくてキスをくれた。センセイはそのまま深く口付けながら背中に手をまわしてきて、それがすごく嬉しかったオレはその体勢のまま腰を動かし始め・・・

  ・

  ・

  ・

「うえっ!?」

 オレはあんまりビックリしたもんだから思わず飛び起きそうになって、でもそれは上に乗っかってるセンセイの腕で阻まれる。

「・・・・・・ゆ、夢・・・」

 オレは呆然と呟いた。オレの体はもちろん、ちっさいままだ。

 まあ思い返してみれば変なことだらけだったけどさ。そんな都合いい薬があるわけないとか、オレの母さんはただのスーパーのパートさんだとか。

 でも、すごい夢を見ちゃったな。でっかくなりたいとはそんなに思ってないけど、いろんな体位やってみたいとは思ってるから、その願望が夢になったんだろうか。でも、オレの願望が表れた夢なのに、センセイはやっぱり基本的に意地悪だったよな。オレってやっぱりそんなとこも含めてセンセイが好きなんだなって実感しちゃったよ。

 夢がリアルすぎたせいでなかなか現実感が戻ってこないオレは、どうにもボヤける頭でしばらく取り留めのないことをウダウダ考えてた。

 ていうか、せっかくあんな夢見せてくれるんだったら、

「最後まで見せてよーっ!」

 すごく半端なところというかいいところでブチっと終わらなくてもいいじゃんかーっ。しかも途中も途切れてたしさー。

 オレが悔しさなんかで思わずジタバタしてると、センセイが目を覚ましたのか身動ぎした。

「あ、センセイ、起きた?」

「・・・・・・んー」

 センセイはうっすら目を開けたけど、すぐにまた閉じて眠りに入ってしまう。元々朝に弱いのが、冬だから益々手に負えないくらい寝起きが悪くなってるんだ。でも、早起きのオレだって寒い冬の朝はなかなかベッドから出たくないけどさ。センセイが一緒なら尚更ね。

 だからオレはセンセイを起こすことなく、大人しくその腕の中に収まっておいた。センセイはオレをギュッと抱きしめるみたいにして寝てる。

 ベッドが狭いからだとか寝相が悪いオレをじっとさせとくためだとか寒いからだとかって言ってるけど、でも理由がそれだけじゃないことはわかってる。オレのこと、大好きだからだよね。あと、抱き心地がいいってのがあったらいいな。

 オレはこうやってセンセイに抱きしめられるの大好きだ。大きくなっていろんなことやりたいとも思うけど、でもそれは今日夢で見れたから、当分はいいや。まあ当分っていうかもしかしたら一生おっきくなんてなれないかもしれないけど。あと、センセイのこと支えてみたいとか入れてるときキスしたいとか、夢で見てちょっと思ったりもしちゃったけど。

 でもオレは、センセイの腕の中っていうこの居心地いい場所からまだ出たくない。出来ればずっとこんなふうにギューって抱きしめられたいたい。

 オレは頭をセンセイの胸になすり付けるように抱き付いて、目を閉じた。

 ちょっとだけ、このまま寝たらさっきの夢の続きが見れないかななんて思いながら――。





END


--------------------------------------------------------------------------------

夢オチ。しかし、でっかい楽太なんて一向に想像出来ませんでした。

にしても、エロいエロが書けない・・・。楽太がいちいちクドクド考えてるせいか?