#Promise





「ええと、42点、38点、67点・・・」

 オレはテスト用紙を見て点数を確かめながら、慎重に足していった。そして、その合計を科目数で割る。

「・・・・・・よんじゅうきゅー・・・」

 オレは現われた数字を口にして、それから何度も見直した。うっかりミスってるわけじゃないのかを。

 しかし何度見返しても、同じ数字になる。つまり・・・

「よ、よんじゅうきゅー・・・。セ、センセイっ」

 オレはちょっぴり動転しながらセンセイにその計算結果を見せた。

「49だってっ49!」

「・・・ほんとだな」

 オレが計算した紙を見て、センセイはパッと計算して合っていることを確かめる。

「49・・・」

 オレは呆然とその数字を何度も呟いた。

 この点は、オレの期末テストの数Tを抜いた平均点だ。80近くあった数Tを足したらもうちょっとよくなるわけで。

 ハッキリ言って今迄オレは平均点どころか単純な点数でもそんな点を取ったことなんて数えるくらいだ。中間のときだって平均は30なかったくらいだしな。

 そのオレが、49。そりゃ一枚ずつ返ってきてるときも結構いいかなって期待はしてたけど。でも、49。

 単純に嬉しい。頑張って勉強したことが報われたってかんじで。すごく、嬉しい。

 それに・・・

「物理がゼロから六十七になったのが大きかったな。それから・・・」

 などと紙を見て感心したように言っているセンセイをオレは見た。

 センセイとした約束。オレが平均で40点以上取ったら・・・

 じっと見ていたオレの目線に気付いたのか、センセイがこっち向いて、笑った。

「よくやったな。やっぱりやればそれだけ出来るようになるんだよ、お前は」

 そしてそう言ってオレの頭を撫でてくれる。

 本当に、オレ頑張ってよかった。やってるときは何度も挫けそうになったけど、それでも投げ出さないでよかった。

「エヘヘ。ね、センセイ、覚えてる? 約束」

 オレは嬉しいとか楽しみとか、とにかくいい気分でセンセイに問い掛けた。

「ああ、覚えてるよ。なんなら今からしようか?」

 笑ったまま言うセンセイにオレは思わず頷きそうになって、慌てて首を振った。

「ううん、夜に取っとく」

 ちなみに今は夕方ってところだ。別に我慢する必要もないと思うけど、でもなんとなく楽しみはあとに取っておこっかなってかんじで。なんてったって、三週間ぶりだからな。

「そうか。じゃあまたあとでな」

「う、うん・・・」

 ああでも、やっぱりやってもらおうか。いや、でも。いや、・・・

 オレがどうしようか悩んでると、センセイはさっきまで見てたテレビに向き直った。

 背中を向けられて、オレは思わずセンセイに跳びついていってしまった。

「や、やっぱり今っ。今やって!」

 オレはセンセイの背中にしがみついてそう言った。我慢しないといけなかった試験中と違って今はそんな必要ないもんな、うん。

 オレが前に回りこむと、センセイは仕方なさそうに笑って、テレビを消した。





 センセイとした約束。それは、オレが期末で平均点40以上を取ったら、センセイがオレのアレを口でしてくれるっての。

 やっぱりそれって、男の夢じゃん? だからオレは、別にそのためだけじゃないけど、でも結構な割合でこのために勉強頑張ったんだ。

 オレは膝立ちしてズボンの前を開けながら、普通の顔してるセンセイにふと疑問が浮ぶ。

「ね、センセイはしたことあったりするの?」

「男とするのはお前が初めてだって、言ったろ」

 あ、そうだった。オレはホッとする。最初のときも思ったけど、センセイって度胸すわってるよな。・・・いや、オレだって別にセンセイのするのは躊躇ったりなんかしないか。

 なんて考えてると、思わず手の動きをとめていたオレに代わってセンセイがオレのを取り出した。

 優しく撫でるような手付きに、そういえばセンセイに手で触られるのも初めてかもしれないと思う。そして、センセイはオレのに口を寄せてきた。さきっぽに軽くキスしてから、そっと舌を這わせてくる。

「・・・っ」

 どうしても声がもれる。

 あったかくって柔らかい舌の感触。実はこれしてもらうの初めてじゃなくて、そのときのお姉さんがしてくれたと同じようにやっぱりすごく気持ちいい。

 でも、今オレを昂ぶらせてんのは単純な肉体的快感だけじゃなくて。

 オレは体を支えるためにセンセイの肩に置いていた手をその髪に遣った。センセイの髪の毛は真っ黒でさらさらで、キレイだ。それから、オレの前では最近結構和らいでるけど、それでも基本的に硬い表情の、顔。嬉しくなることだけじゃなく意地悪なことも言うようになった口と、実は猫舌らしい舌。

 そんなセンセイが、オレのをしてくれてる。そう思うと、それだけでかなり興奮してくる。それに、上から見下ろしたオレのを咥えてるセンセイの姿は、なんかすごくエロい。

「セ・・・ンセ、オレ、も・・・」

 体感する快感と、視覚から受ける快感と、心理的なものに由来する快感と。そんなのでオレは早くも限界を迎えてしまう。

 でもこのままじゃセンセイの口の中に出しちゃうから、オレは力の入らない手でセンセイの肩を押した。

 それなのにセンセイはオレのから口を離さずに、その舌を促すように動かす。

「セン、セ・・・んっ」

 オレは悪いと思いつつも、我慢できずにセンセイの口の中でいってしまった。

 オレが呼吸を整えている間に、センセイはその喉を鳴らしながらオレのを舐め取っていく。

「・・・の、飲んじゃったの?」

 やっと落ち着いてきたオレは、口を拭うセンセイになんか申し訳なくなる。

 そんなオレの頭をセンセイが撫でた。

「気持ちよかったか?」

「そ、そりゃすごく」

 ていうか、最高。なんて思って素直に言うと、センセイは微かに笑った。

「なら、いい」

「・・・うん」

 センセイがいいなら、いっか。でもな・・・・・・あ、そうだ。

「ね、センセイのやったことないから、オレもするよ」

 それでおあいこになると思ったオレに、センセイは苦笑する。

「それじゃ、ご褒美にならないだろ」

「あ」

 そうだ。これはごほうびで、勉強頑張ったからしてもらえたんだもんな。・・・ん、てことは、これってこれからもテストで頑張らないとやってもらえないのかな、やっぱり。オレはなんか残念になる。

「して欲しいって言えば、いつでもしてやるよ」

 そんなオレの顔を見てか、センセイはオレの考えをバッチリ見抜いてそう言った。いつでも・・・、なんかセンセイ、今日はいつもより優しい気がする。

「それに、さっきのことなら気にするな。床とか汚れたら掃除が面倒だからな。お前、勢いだけはあるし」

「・・・・・・」

 いや、やっぱり意地悪だ。揶揄うような笑いを浮かべるセンセイをオレは恨めしそうに見た。

「さっきまではちょっと優しいかなって思ってたのに・・・」

「ああ、今機嫌いいからな」

 ・・・いいんなら最後までちゃんと優しくしてくれればいいのに。なんてちょっと思ったけど、オレはそれよりその理由が気になって「なんで?」と尋ねた。

「・・・お前が」

 センセイはオレの頭をもいっかい撫でながら、言う。

「俺といて、いいほうに進んでるみたいだから」

 いいほうに・・・。ちょっとよくわかんないけど、センセイ嬉しそうだし、いっか。

 オレはセンセイの肩に手を回して言った。

「うん。だから、これからも側にいてね」

「じゃあお前はこれからも勉強、ちゃんと頑張れよ」

 センセイの返答はやっぱり優しくなかったけど、でも浮んでるのは優しい笑顔で。

 だからオレはセンセイに、わかりましたと言う代わりに、軽くキスをした。すると、センセイも同じように軽いキスをくれる。これって、さっきのオレのセリフに対する同意と取ってもいいのかな?

 オレは笑って先生に抱き付きながら、思った。

 ね、センセイ。オレ、勉強がんばるよ。

 オレってずっと勉強するのなんて嫌いだったんだけど、今は前ほどじゃなくなったし。しんどいけど、やったらそれだけ結果が付いてくるってわかったから。それに、センセイが喜んでくれるんだったらなおさら。

 だからね、センセイ。

 たまにはこうやって、ごほうびちょうだい、ね――。





END


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ナチュラルなイチャイチャって、

ちょっとしたエロなんかよりもよっぽど書くの恥ずかしいのね・・・。

口淫シーンは、そのうちもうちょっとねちっこく書いてみたいです。