Calling
2月4日の誕生日に来て、2月14日のバレンタインにも来て。
暇はあまりないくせに、金と情熱だけは溢れるほど持っている、そんなディーノだから。
どうせ3月14日のホワイトデーにも、はるばるイタリアからやって来るのではないか、雲雀はついそう考えてしまっていた。
ところが、ホワイトデー当日。
朝が終わり昼が過ぎ、放課後という時間になっても、ディーノは姿を見せなかった。
応接室の扉がノックもなしに開いたときは、やっと来たのかと思ったが。そこにいたのは、しまったノックし忘れたと顔に書いてある風紀委員で。雲雀は、遠慮なくその男を咬み殺した。
おかげで少々スッキリしつつ、雲雀はもう帰ることにする。今日は特に片付けなければならない案件もない。
こうしていると、まるでディーノが自分に会いに来るのを待ち望んでいるようで、なんだか面白くないのだ。
来るか来ないかわからないディーノを、待ってやる義理など雲雀にはない。雲雀がどこにいようと、会いたいのなら探し出して来ればいいのだ。
そう思いながら学校をあとにした雲雀を、家の前で待っている人がいた。
見間違えるはずもなく、それはディーノ・・・ではなくただの配送業者の男だった。
男は一体いつからそうしていたのか、雲雀の姿を認めると安堵の表情を浮かべる。
「雲雀さん、お荷物です」
雲雀に荷物を差し出す男の顔は、いつのまにか緊張に変わっていた。雲雀の機嫌を損なうことがどれほどおそろしいか、何度も訪れたことのあるこの業者は知っているのだ。
そんな業者の事情になど、雲雀は当然頓着せず、荷物を受け取った。
こんな日に荷物を送ってくる相手なんて、雲雀は一人しか知らない。
宛名も差出人欄にも筆記体が踊っていて、日本語で書かれていなくても、差出人の名前くらいは雲雀にも読めた。やはり、これはディーノからの、おそらくホワイトデーのプレゼントなのだ。
思わず表情をゆるめていたのか、業者の男が驚いた顔をしたが、雲雀は気付きもせず荷物を抱えて家に入った。
ディーノはおそらく、忙しくて日本には来れなかったのだろう。その代わりに、こうしてわざわざプレゼントを送ってきた。
なんてマメな男なんだろうと雲雀は思う。イタリア人にとっては普通のことなのかもしれないが、雲雀にはとても真似出来なかった。勿論、したいとも思っていないが。
早速箱を開ければ、バレンタインのときと同じように、高級そうなラッピングの箱が入っている。
その包装紙には、手書きのメッセージカードが添えられていた。筆記体のその文は、イタリア語の挨拶程度ならちょっとはわかるようになった雲雀にもサッパリわからない。
そう予想してだろう、その下には日本語でもメッセージが書いてあったが。イタリア語同様ディーノが書いたのだろうその文字は、ミミズが這ったような、とても読める代物ではなかった。
ただところどころ、たとえば「愛」という文字を書いたつもりなんだろうと想像させる部分があったりもする。
それがなくても、ホワイトデーのプレゼントに添えられている言葉なんて、ディーノが書きそうな言葉なんて、雲雀には簡単に想像が付くのだ。
こうやってメッセージを付けて、それでもきっとディーノのことだから、電話でも掛けてきて直接甘ったるいセリフの一つ二つは言ってくるのだろう、雲雀はそうも予想する。
だから雲雀は、携帯を側に放って、それまでこのクッキーの詰め合わせでも摘んで時間を潰すことにした。
それから、軽く、数時間は経っただろう。ディーノからの電話は、まだなかった。
雲雀もさすがに途中でクッキーを食べるのはやめて、夕食をとり、風呂にも入った。
その間に着信した様子も、相変わらずない。
しかし手にした携帯をポイッと放り投げた、次の瞬間、部屋に並盛校歌が響いた。
雲雀はつい反射的に、携帯を掴んで通話ボタンを押す。
「・・・何?」
それでも普段通りの素っ気ない声で言った雲雀に、聞こえた声は・・・ディーノのものではなかった。
雲雀が電話にすぐに出たことに驚きながら、風紀委員副委員長の草壁は、何やら用件を伝えてくる。それを取り敢えず耳に入れながら、雲雀は明日草壁を咬み殺してやろうと決めた。
短い電話が終わり、再び放った携帯を、雲雀はついなんとなく見つめる。一向に、鳴る気配のない携帯を。
大体始めから、予想外だったのだ。
てっきり、わざわざ会いにくると思っていたのに。それが、会いにこないばかりか、プレゼントだけ送りつけてきて、電話の一本も寄越さないなんて。
期待外れもいいところだ。
そう、雲雀は期待していたのだ。ディーノが会いにくると。電話くらい掛けてくると。
プレゼントや、読めもしないメッセージだけでは、足りないのだ。
自覚すれば、電話が掛かってくるのを待っているなんて余計に癪で。雲雀は、寝ることにした。
2月下旬から、キャバッローネのシマでちょっとしたゴタゴタが持ち上がった。それ自体を解決するのはそう困難ではなかったのだが、後始末が少々面倒で。
結局、3月も半ばになってようやくひと段落着いたという有様だった。
「・・・これで、あとは頼む」
「了解。ごくろうさん、ボス」
ロマーリオの労いの言葉に、ディーノは開放感で大きく伸びをする。それから、壁に掛かるカレンダーにちらりと目を遣って、ハァと大きく溜め息をついた。
3月14日は日本ではホワイトデーと呼ばれる日で、バレンタインデーの対になっているらしい。その日には、ディーノによって赤ペンで花まるマークが書かれていた。現在の時刻はその、3月14日をすでに数分過ぎてしまっている。日本も、もうとっくに15日になっているだろう。
ディーノは勿論、ホワイトデーを口実に、雲雀に会いにいくつもりだったのだ。
ゴタゴタが起きても、14日までには終わるだろうと、合間を縫ってちゃんとプレゼントも用意していた。バレンタインチョコのお返しに贈るのが、クッキーやマシュマロだということも、ちゃんと調べていた。
それなのに。事態はなかなか収束に向かわず、もし行けなかったらと取り敢えずプレゼントを送って。本当に、日本には行けなくなってしまった。
「・・・はぁ」
しつこく溜め息をつくディーノに、ロマーリオが苦笑しながら言ってくる。
「ボス、電話でもすりゃいいじゃねーか。声聞くだけでも違うだろ」
「んー・・・」
ディーノだって、声だけでも聞きたい気持ちはある。だが、時計を見てから、ディーノは首を振った。
「だめだ。今向こうは・・・8時過ぎってところか。そろそろ学校始まる時間だしな、じゃま出来ねーよ」
雲雀が真面目に授業に出ているのかは、とても怪しいとディーノも思うのだが。しかし大人として一応、雲雀の学業の妨げになってはならない、という気持ちがあるのだ。
こうなってくると、時差という存在がディーノは憎らしくなってくる。イタリアと日本の距離も、また然り。
「あーあ、日本がイタリアの隣にありゃよかったのになー」
ディーノが思わず呟くと、その切ない心の内なんてわかってもくれず、ロマーリオが大笑いする。
「くくく、ボス、馬鹿なこと考えてないで、電話しないならさっさと寝たらどうだ」
「・・・わかったよ、寝る」
笑いながら言ったロマーリオを睨み付けてから、ディーノは自分の部屋へと戻った。
本当なら、厄介ごともキレイサッパリ片付いたことだし、これから飛んで会いにいきたいくらいなのだが。ここのところ後回しにしていた仕事が残っているから、そんなことするわけにもいかない。
やはり今のディーノに出来るのは、ゆっくり休むことくらいのようだ。ディーノは諦めて、おとなしくベッドにもぐり込んだ。
ここのところ睡眠時間が不足気味で、すぐにスッカリ熟睡してしまっていたディーノが、それに気付いたのは、奇跡に近かったかもしれない。
プルルル・・・と頭のすぐ側で鳴る携帯電話に、ディーノは半ば無意識に手を伸ばした。ファミリーに関する緊急の用事かもしれないから、出ないわけにはいかない。
「Pronto... Chi parla...?」
相手が誰かなんて確認しなかったから、電話を取るとすぐに寝ぼけた声ではあるが誰何した。
しばらく電話の向こう側は沈黙し、それから聞こえてくる声。
『・・・・・・人違いみたいだね』
「・・・・・・・・・・・・」
未だ半分夢の中にいたディーノは、そこでやっと覚醒した。電話回線を通してだといつも以上に無愛想に聞こえるその声を、ディーノがわからないわけがない。
「き、恭弥っ!? 待て、間違ってねーって!!」
ついガバッと体を起こしながら、慌てて言ってから、しかしディーノは首を捻る。
「・・・いや、間違ってるか? 恭弥、誰に電話掛けたんだ?」
雲雀がディーノに電話を掛けてきたことなんて、今まで一度もなかった。だから、他の人に掛けようとして間違えた、悲しいがその可能性のほうが高いとディーノは思ってしまう。
『・・・・・・・・・』
だが、この電話の向こうの雲雀の沈黙。ディーノにもなんとなく察することが出来た。
どうやら、雲雀は間違いなく、ディーノに掛けてきたらしい。
「・・・っえ、なんでオレに掛けてきたんだ?」
ディーノはついそう尋ねていた。自分はしょっちゅう用はなくても雲雀に電話するが、しかし雲雀はそんなことするタイプではないだろう。何かよっぽどの用件があるのかもしれない。
「・・・もしかして、プレゼント迷惑だったとか? それとか・・・」
もう別れたい、とか。表情や空気から察せない分、電話越しの雲雀の素っ気ない態度はディーノに距離を感じさせて。
つい悪い想像をしてしまうディーノに、雲雀はさらりと用件らしきものを口にした。
『ただの、嫌がらせだよ』
「・・・へ?」
ディーノはキョトンとしてしまう。それは、これから嫌がらせをするということなのか、それとも電話を掛けてきたこと自体が嫌がらせのつもりなのか。ディーノにとっては、後者は決して嫌がらせにはならないのだが。
「嫌がらせって・・・?」
『今、あなた寝てたでしょ?』
「おう・・・」
よくわかったな、と言いかけたが、時差8時間で計算すればすぐわかることだろう。時計を見ると、今は深夜の3時、大抵の人間なら眠っている時間だ。
確かに、こんな時間に電話を掛けて来られるなんて、普通なら迷惑極まりないだろう。ディーノとしては、相手が雲雀ならむしろ嬉しいが。
「別に、嫌がらせだとは思わないけど・・・え、なんでそんなことしようと思ったんだ?」
やっぱりプレゼントが迷惑だったんだろうかと、つい心配になる。だが雲雀の返事は、やっぱり素っ気なくて。
『あなたには関係ないよ』
「・・・・・・・・・」
顔が見えない分、雲雀の言葉は冷たく聞こえる。だが、これはいつもの雲雀流の軽口なのだと思って、ディーノは気にしないことにした。いちいち傷付いていたらキリがない。
「それより、恭弥のほうこそ、時間はいいのか? 今、学校じゃないのか?」
『・・・ちょうど今、暇だから』
「そっか」
日本は今、午前11時頃。本当に暇な時間かどうかはディーノにはわからないが、もし暇潰しであったとしても、電話を掛けてきてくれて嬉しかった。
『ところで、あのクッキーはなんのつもり?』
「え? そりゃ、昨日はホワイトデーなんだろ? こっちはそんな習慣ねーけど、ジャッポーネはチョコ貰ったお返しに、クッキーとかマシュマロとか贈るって聞いてな」
ディーノは雲雀の暇潰しに付き合うべく答える。真夜中だしまだ2時間も寝ていなかったが、眠気はどこかに飛んでいってしまっていた。
『そんなもの、あげた記憶ないんだけど』
「ほら、オレがあげたチョコを、1個くれたじゃねーか。そのお返し、ってことで。いーんだよ、どうせ口実なんだから」
『クッキーを送りつける?』
「じゃなくって、本当は会いにいくつもりだったんだってば。でも、いろいろあって忙しくて・・・」
そう言いながら、ディーノはどんどん大きくなっていく思いを、抑えられなくなっていく。そしてつい正直に、口にした。
「・・・なあ、恭弥。会いてーよ」
『・・・・・・』
「もう、一ヶ月も会ってねーだろ。早く会いたい。直接声聞きたい」
こうやって会話出来るのも嬉しいけど、やっぱりそれだけじゃ足りない。会って、見て、聞いて、触れて。抱きしめたい、キスしたい。面と向かってなら、素っ気ない一言だって、きっととても嬉しい。
考えれば考えるほど、ディーノは雲雀とこんなに離れていることが、寂しくて堪らなくなっていった。
今すぐ日本に、行けるものなら行きたい。でもそんなことは出来なくて。
ディーノはつい、ぼやくように口にしていた。
「おまえのこと、さらってこさせてやろーか・・・」
『・・・さすがマフィアは、考えることが物騒だね』
「だってよー・・・」
いかにディーノの部下だろうと、凶暴な雲雀をさらってくるのは無理だろう。そもそもそういう問題ではないことにも、ディーノは気付いているのだが。つい考えずにはいられないのだ。雲雀と会える方法を。
「・・・・・・なあ、恭弥は」
オレに会いたいとか、思わねーの? ディーノがそう尋ねる前に、雲雀が口を開いた。
『そろそろ、切るよ』
「えっ、もうか?」
唐突な切り出しに、ディーノは焦る。ディーノとしては、あと何時間でも喋っていたい気分なのだ。
「あ、電話代ならあとで・・・」
『最初から、そっち持ちだから』
「そっか・・・」
ならば、切ると言った雲雀は切るだろう。寂しいが、ねばってもう二度と掛けてきてくれなくなるのも嫌だ。
おとなしく引き下がろうとディーノは思ったが、もう少し会話を長引かせてきたのは、雲雀のほうだった。
『ところで、あのカードだけど、何書いていたわけ?』
「・・・え、わかんなかったか? ちゃんと日本語でも書いといたんだけど」
『あんな汚い字、読めるわけないでしょ』
「・・・・・・・・・」
確かにディーノは、喋る分にはほとんどペラペラだが、日本語を書くのはまだまだ苦手だ。だが、雲雀へのメッセージだから、気合を入れて心を込めて丁寧に書いたつもりなのに。
それでも、読めなかったのなら仕方がない。伝わらなければ、意味がない。
「わかったよ。ま、あーいうのは直接言葉で言ったほうがいいしな」
元々は、直接会って言いたかったことなのだ。ディーノはメッセージの文章を、書いたときよりもずっと強くなっている思いを、口にした。
「バレンタインのお返しだ。もしかしたら行けないかもしれないから送った。会えなくても、いつもおまえのこと考えてる。愛してる、恭弥」
『・・・・・・・』
雲雀から、お返しの愛の言葉なんて、いつものようにない。だとしたらいつものように、呆れたようにそれでも表情を少しゆるめてくれているのだろうか。ディーノには想像するしかない。
『・・・そんなことだろうと、思った。相変わらず、わかり易い人だね』
小さく溜め息つきながら言う雲雀の声が、やっぱり少しやわらかくなったように聞こえたのは、ディーノの願望のせいだろうか。
「わかりにくくする意味もねーだろ。気持ちは素直に伝えるのが一番だからな」
『ふぅん・・・』
同意してもらえるなんて思わずにディーノが言うと、雲雀はよくわからない反応を返してきた。否定されないだけマシ、だからディーノは気にしない。
大体、雲雀相手にいちいち反応を気にしていたら、何も出来なくなってしまう。たくさん言葉を掛けていろいろ行動して、それで少しでも反応を返してくれたら、たまに行動を起こしてくれたら。ディーノはそれが、嬉しいのだ。
『・・・じゃあ、切るよ」
「おう、またな。そのうち、会いにいくから」
言いたいことはいくらでも思い付いて、キリがないから最低限の言葉にとどめておく。あとは、自分から切るなんて出来ないから、雲雀が切るのを待つだけだった。
そんなディーノの耳に、予想外に雲雀の言葉が届く。
『・・・気が向いたら、お返し、してあげてもいいよ』
「・・・・・・えっ!?」
ディーノは思わず問い返したが、すでに電話は切れてしまっていた。それでもディーノはしばらく、携帯を耳に当てたまま静止する。
確かに、お返し、と聞こえた。
気が向いたらとも言っていたが、期待していてもいいのだろうか。それでなくても、そもそもディーノにとっては、雲雀が電話を掛けてきてくれただけで充分報われた思いだった。
携帯の着信履歴に残る、雲雀の名前を、ディーノは見つめる。
会いたくて堪らなくて寂しいのも本当だが、同時に今の幸福感は、離れているからこそで。
「ま、たまにはこういうのも、悪くねーかもな」
そう呟いてから、携帯を抱きしめるようにして、ディーノは眠りについた。
電話を切って、雲雀はソファに背を凭れさせた。右手で、件のクッキーを摘む。
嫌がらせ、というのも間違いではなかった。待たせておいて、結局向こうからはなんの連絡も寄越さなかったことに対する。
そうでなければ、わざわざディーノが寝ている時間に電話などしない。
もう一つ理由を付けるなら、忙しいらしいディーノだが、寝ているときなら当然何も用はないだろうから電話に出られるはずだと思ったのだ。
暇なのも確かだった。だが、どうでもいい相手と暇潰しの為に喋る趣味など雲雀にはない。
どれにしろ、雲雀の勝手な理由から、向こうが夜中3時という時間に電話を掛けたのだ。
そしてディーノは、2コールで電話に出た。最初こそさすがに寝ぼけた声だったが、相手が雲雀だとわかるとすぐに、いつものテンションに戻って。
こんな時間に電話してきたことを、不思議がりはしても迷惑がりなどせず、むしろ嬉しくて堪らないと声色は伝えてきて。
会いたい。そうも正直に言っていた、ディーノの声が、耳によみがえる。
声を聞いたし、甘ったるい言葉も聞いた。それでもまだ、雲雀は足りたとは思えなかった。
会いたいか、なんてディーノは尋ねようとしたが。
「・・・そんなの、愚問でしょ」
会いたくないわけがない。そんなこと、表には決して出さないけれど、雲雀だってディーノに会いたい。
直接、面と向かって、歯の浮くようなセリフを言ってくれなければ。雲雀には言葉なんかで、反応を返すなんてこと、出来ないのだ。紙切れでなんて、以ての外。
雲雀は菓子箱に入れてあるカードを手に取った。這ったミミズのような文字は、言われて見れば、ひらがなはなんとなくわかる気もする。そしてやはり、これは「愛」という文字だったようだ。
書いてある内容に見当は付いていたのに、実際にディーノの口から聞いてやっと、待ち望んでいた言葉が届いたという気分になるのは何故だろう。
会いたい、ディーノの言葉が再びよみがえる。
会って、直接声を聞いて、触って、キスして。全てを言わなかったディーノの願望が、雲雀には聞こえてきた気がした。
あんなに会いたい会いたいと、電話越しなのに言葉以外でも伝えてきたディーノ。実際雲雀が会いにいったら、一体どんな顔をするんだろう。
ふと考えてみて、それは悪い試みではない気がしてきた。
お返しをしてあげてもいい、なんて言ったのは気紛れだったが。これが、ディーノがよく言う、口実というものだろうか。
別にまだ、そうと決めたわけではないが。
ただ、そうしたらディーノがどんな反応をするだろうか。それを想像すると、クッキーを摘むよりもずっと、何か足りない気持ちが、紛れるような気がしたのだ。
END ところで、中学の年間行事スケジュールとか時間割とか、そういうのが知りたいと最近心底思います…。(遠い昔のことなので全く思い出せない…)
授業時間がいつか、テスト期間がいつか、始業式終業式卒業式etc... わからない…!!
3月14日15日、中3の雲雀が学校へ行ってていいものやら…!?
というか…お互い夢中過ぎるヒバディノで、何かすみません…(笑)