愛人恋情



 カーテンの隙間から差し込んでくる朝陽を受け、淡く輝く金糸へとザンザスは指を通していった。そっと触れたつもりだったが、覚醒を促してしまったらしく、同じく金の睫毛が揺れてゆっくりと瞳が開く。
「・・・時間はいーのか?」
「ん・・・今、何時?」
 寝起きでぼやけた声で尋ねてくるディーノへ、なんとなくそのまま頭を撫でながらザンザスは時計を見て答えた。
「7時前だ」
「なら・・・まだへーき・・・」
 それだけ言うと、ディーノは再び瞳を閉じて、すぐに寝息を立て始める。ザンザスも起きなければならない用事はなく、そんなディーノを腕に抱き込むようにして、ゆったりとベッドに身を委ねた。無意識に体を摺り寄せてくるディーノに、ザンザスは僅かに表情をゆるめる。
 ザンザスとディーノは、いわゆる愛人関係にあった。
 たまに会っては体を重ねる。もう2年ほど前から続いている、それは、ディーノから切り出してきた関係だった。
 めずらしく早く目が覚めたものの、もう一度眠ることがなかなか出来そうにない。ザンザスはディーノの髪を撫でながら、そのときのことを思い出していった。


 リング争奪戦後、ヴァリアーの処遇が決まる前からたびたび、ディーノはザンザスの元を訪れるようになった。
 不思議と、ディーノの持つ空気はザンザスにとって、決して鬱陶しくじゃまなものではなく。一年もすれば、たまに訪ねてくるディーノと酒を酌み交わしながら他愛のない話をするのは、ザンザスにとって自然なことになっていた。
 そしてある日、ディーノが何気ない口調で切り出してきたのだ。
「ザンザスは・・・愛人いるのか?」
「・・・あぁ?」
 ザンザスが唐突な問いに眉をしかめれば、ディーノは肩を竦めて苦笑いをする。
「いや、オレもこの歳だし、恋人でも愛人でもそろそろ作れって、周りが言ってくるんだけどさ・・・」
 そこでディーノは一旦言葉を切り、ワインを喉に流し込んでから、隣のザンザスに視線を向けてきた。
「だから、ザンザスはどうしてんのかなって思って」
「・・・んな面倒くせーもん、いねーよ」
 ザンザスがウィスキーを呷りながら答えれば、ディーノは意を得たとばかりに笑う。
「だよな、面倒だよな」
 しかし、ディーノが続けて挙げたその理由は、ザンザスのものとは程遠いものだった。ディーノはグラスにワインを継ぎ足しながら、溜め息まじりに言う。
「付き合う以上は、真剣に相手してやんねーとって思うけど・・・それがなあ面倒っていうか・・・そこまでしたいと思う人もいねーし、そんなんで取り敢えず愛人に、なんて言えねーし・・・」
「・・・・・・・・・」
 恋人にしろ愛人にしろ、関係を持つからには誠実に対応しなければ、と思うからディーノは面倒に感じるようだ。
 対してザンザスは、単に特定の相手を作るのが性に合わないだけだった。女と親しくなるつもりも気を許すつもりもないのだから、一夜限りで充分だ。
 やはり根本的なものの考え方が違うな、と思うザンザスに、ディーノは今度はわざと明るい口調で言ってきた。
「それにさ、もし子供でも出来たら厄介だしな」
「・・・・・・違いねぇ」
 それには、ザンザスも同意するしかない。ザンザスは普段適当にそのつど遊んでいるが、確かに孕まれでもしたら始末が面倒だ。ファミリーのボスであるディーノは人一倍慎重にならなければならないだろうし、ザンザスとて自らも出自に苦い思いをしているから、下手に自分の子供を作ろうなんて気分には到底なれなかった。
 そんな事態考えたくもないとウィスキーを呷れば、ディーノもワインを喉に流し込む。互いにもう何杯目かわからないが、いつもこんなかんじだったから、格段に酔っていたというわけではなかった。
 少し間を空けて、すっかり話題を変えるのかと思えば、ディーノはゆっくり開いた口からまた問い掛けてくる。
「・・・ザンザスはさ、男相手にしたことあるか?」
「・・・あぁ?」
 唐突な問いだとまた思ったが、ザンザスは今度はすぐに流れを理解した。男を相手にすれば、確かに子供が出来る心配だけはない。
 しかし、ザンザスがその選択をしたことはなかった。
「ねーな」
 わざわざ男を相手にするまでもなく、女には困らない。寄ってくる女を断って男を探すほうが面倒だった。
 ディーノだってそうだろうと思ったが、視線を向けて、ザンザスは少し考えを変える。ディーノの容姿なら、男にだって困らないように見えた。
「てめーの面なら、どっちでも選り取り見取りか?」
「オレもねーよ」
 ディーノはザンザスの言いように、気を悪くした様子もなく笑って返してから、少し声のトーンを低くして呟くように言う。
「でも、男のほうが楽かなーって、ちょっと思った」
「・・・・・・・・・」
 そうかもしれない、とザンザスも率直に思う。
 女の感性は理解しがたいことが多い。単に性欲を満たしたいだけなら、利害の一致した男同士のほうが、確かに楽かもしれない。
 しかし、どうしてこんな話題をディーノが続けているのか、ザンザスはそれが気に掛かった。まるで、その相手にザンザスが相応しいのか見極めようとしているように見える、のはただの思い過ごしだろうか。
 グラスに口をつけながら視線を向ければ、ディーノもまたザンザスをジッと見ていた。そのまま、問い掛けてくる。
「ザンザスは・・・男相手でも、いける?」
「・・・さあな・・・相手によるんじゃねーのか?」
「ふーん・・・」
 曖昧な相槌を打つディーノは、やはりその視線で、ザンザスを誘っているように見えた。
 もしそのつもりで愛人がいるのかと尋ねてきたのなら、随分と遠まわしなことだと思う。単なる成り行きの、この場で芽生えた好奇心なのかもしれないが。
 ザンザスはグラスをテーブルに置きながら、まどろっこしいやり取りは省いて、単刀直入に問い掛けた。
「なんだ、俺を愛人にしてーってのか?」
 ゆっくりと手を伸ばし頬に触れていけば、ディーノは避けることもなくそれを受け止める。
「ああ、そっか、そういうのもありかな」
 今頃気付いたように言ってから、愉快そうに笑って続けた。
「意外と、楽でいいかも。試してみないと、わかんねーけど」
「・・・試すか?」
 少なくともザンザスは、満更ではない。今まで男を相手にしたことはないが、なめらかな頬に指を滑らせながら、ディーノなら抱けると思った。
 ニヤリと笑いながら問い掛ければ、ディーノも笑みながらワイングラスを手放す。そして空いた手を伸ばしてくる、ディーノの体をザンザスはソファへと組み敷いていった。


 その時点で、ザンザスにディーノへの愛情は、存在しなかった。
 別に悪くないと思ったから応じただけのこと、確かに女よりも男のほうが都合がいいと思ったのもある。
 そもそも、ザンザスは人を愛するという感情なんて、知らないし理解出来なかった。
 そんな自分にとって、愛を期待するわけでもなくかといって金目当てでもないディーノは、楽に付き合える相手に思えたのだ。
 少し長い回想をしてもやはり眠くならず、ザンザスは引き続きやわらかいディーノの髪に指を通していく。
 そうして始まった愛人関係だったが、いつのまにだろうか、ザンザスの中に芽生えたものがあった。それこそが、愛情なのだと。すぐにはわからなかったが、ザンザスもそのうちに自然と理解するようになっていった。
 そうしてようやく、ザンザスはもう一つ気付いたのだ。
 便利だから楽だから都合がいいから、なんて言いながら。ディーノも明らかに、ザンザスに対して愛情を抱いているようだった。ザンザスと、同じ類の。
 最初からそうだったのかわからないし、同じように途中で芽生えたのかもしれない。そしてディーノは、その気持ちをザンザスにわざわざ伝えるつもりはなさそうだった。
 愛人関係、と言いながら、二人の関係はもうすっかり恋人とも呼べるものだとザンザスは思う。だから、このままでもいいと思っているのだろうか。
 確かにどうせ、ザンザスとディーノはこれ以上の関係にはなり得ない。お互いに立場があり、どの道おおっぴらには出来ないのだ。
 そっと肩を抱き寄せれば、ディーノはまた無意識にザンザスに身を寄せてくる。そのぬくもりを感じながら、だったら別にこのままでいいだろう、ザンザスはそう思った。


 この日もいつものように、互いの都合が合って、ディーノが訪ねてきていた。
 ベッドで一通り抱き合ってから、ウィスキーを飲もうとザンザスは体を起こす。ベッドサイドのテーブルからグラスを取ろうと腕を伸ばしていく、ザンザスの背にディーノがぴったりと張り付いてきた。
 まだ熱を持っているディーノの肌は心地よく、めずらしく甘えているのかと思えばなおさら悪い気もしない。
 好きにさせていると、そのうちにディーノが呟くように言った。
「なあ、ザンザス・・・」
「なんだ?」
 ザンザスがウィスキーを味わいながら何気なく促せば、思いもしない言葉がうしろから聞こえてくる。
「おまえ、好きなやついるんだって?」
「・・・あぁ?」
「ルッスーリアが言ってた」
「・・・・・・」
 そういう方面に勘のいいルッスーリアには、どうやらお見通しだったようだ。それをディーノ本人に勝手に言うのはどうかと思うが、ザンザスもそこまで隠し通したいわけでもなかった。
「いるのか?」
「・・・あぁ」
 ここまで互いに何も言わずにきた関係だが、ディーノはそろそろハッキリさせたいのかもしれない。だったらと、ザンザスは素直に答えた。
「そっか・・・」
 ディーノは張り付いていたザンザスの背から離れ、今度は額だけ軽く触れさせてくる。
「じゃあさ・・・こういうの、もうやめねーとな・・・」
「・・・そうだな」
 ディーノが、「愛人」関係をもうやめようと言うのなら、ザンザスに異存があるはずもなかった。肯定して返せば、少し間をおいてディーノの声が届く。
「・・・あんがとな、ザンザス」
「・・・それは、お互い様だろう」
 それが何に対する感謝かわからないが。ディーノがザンザスから何か得たのだとしたら、ザンザスだってディーノから得たものがある。
「そっか・・・」
 そのまま、ディーノはまたしばらく口を閉ざした。
 こちらが好きだと認めた以上、次はディーノが何か言ってくれるのかと思ったのだが。もしかして自分からハッキリと言葉にするべきなのだろうかと、ザンザスは依然背に押し付けられたままのディーノの頭を感じながら考えた。
 勿論こんな、むず痒くなるような状況は初めてで、戸惑いもあるが。ディーノとならこういうのも悪くないと、ザンザスは口を開こうとした。
 だがその前に、ディーノが動く。ゆっくりとザンザスから離れ、さらにベッドから降りていったのだ。振り返れば、数時間前適当に脱ぎ捨てた服を、拾い身に着けている。
「・・・帰るのか?」
「ああ・・・明日、朝から仕事あるし」
 ディーノはザンザスに背を向けたまま、そう言ってそのまま部屋を出ていってしまった。
「・・・なんだ?」
 せっかく愛人関係を清算したはずなのに、ディーノの態度が今までよりも素っ気ない気がして、ザンザスは思わず首を捻る。
 仕事なら仕方がないとも思うが、ディーノはいつも翌日余裕のあるときにしか訪ねてきたことはなかった。夜のうちに帰る、なんて今までにないことだったのだ。
 違和感を覚えるが、それはまた次に会ったときにでも聞けばいいだろうとザンザスは思う。
 しかしそれから、何故かディーノからの連絡は、プッツリと途絶えてしまった。


 しばらくは忙しいのだろうと思い放っておいたが、ザンザスはすぐに辛抱出来なくなる。元々忍耐強いほうではないし、別れ際のディーノの様子も気に掛かっていた。
 そして何度か呼び付けると、ようやくディーノは顔を出したのだ。
「・・・何か、用か?」
 部屋の入り口に立ったまま、やっぱり素っ気なく見える態度で、そう問い掛けてくる。まずソファにゆったり掛けて酒を酌み交わすのがいつものことだった。
 それすらしようとしないディーノを、ザンザスは強引に腕を掴んでソファへと引っ張っていく。そして、酒を飲むのはやはりあとまわしにすることにして、ディーノの体をソファへ押し倒していった。
「っ、ザンザス、やめろよ・・・」
 ディーノは逃れようとするが、ザンザスは構わず圧し掛かり唇を押し付けていく。ディーノが行為に抵抗感を示したことは今までなかったが、すぐにいつものように応えてくれると思ったのだ。
 だが、ディーノの抵抗は一向にやまず、強固にザンザスの体を押し返そうとしてくる。
「だから、やめろって!」
「・・・なんでだ?」
 ザンザスにはどうしてディーノが自分をそんなに拒むのかわからなかった。それなのにディーノは、睨むようにザンザスを見上げてくる。
「ザンザスこそ、なんでこんなことすんだよ」
「・・・・・・・・・」
 非難するように言われても、ザンザスこそディーノが何故そんなことを言うのか全くわからなかった。そんなザンザスから少し視線を逸らしながら、ディーノはトーンを下げた声を向けてくる。
「・・・もう、やめようって言ったろ?」
「あぁ?」
 ザンザスが、ディーノに触れるのをやめる、などと言うわけがない。眉をしかめるザンザスへと、ディーノは搾り出すように言った。
「こういうことは・・・好きなやつに、しろよ」
「・・・・・・・・・・・・」
 その言葉に、ザンザスは唖然とする。もしかしてディーノは、とんだ思い違いをしているのではないか。
 ザンザスはこの前のディーノとのやり取りを思い返した。ディーノはザンザスに好きな人がいることを確かめ、愛人関係をやめようと言ってきた。ザンザスもそれに同意した。
 もしかしてディーノは、ザンザスが他に好きな人がいると思い、関係を持つこと自体やめることにしたのだろうか。
 確かにザンザスは、その好きな人がディーノだとはハッキリ言わなかった。だが、ザンザスがディーノの気持ちに気付いたのだから、ディーノだってザンザスの気持ちがわかっていると思っていたのだ。
「てめー・・・鈍いにも程があんぞ・・・」
 ザンザスは思わず呆れて呟いた。少しムッとしたような顔をしながら、ディーノはしつこくザンザスの体を押し返そうとしてくる。
「な、なんだよ。いーから、どけって」
「・・・どかねー」
「は?」
 全てわかったザンザスは余計に、ディーノから離れるはずがなかった。全く何もわかっていないディーノへと、教えるようにキスしていく。
「ん・・・だからっ」
「好きなやつに、しろって言ったのはてめーだろ?」
「・・・は?」
 そう言ってもピンとこないらしく目を丸くしているディーノに、ザンザスは安心させるようにハッキリと言葉にした。
「・・・てめーだよ」
「・・・・・・・・・」
 ディーノはさらに目を丸くする。それから、しかしすぐにはその言葉をそのまま信じられないようだ。
「で、でも、この前・・・もうやめようって言ったら、そうだなって・・・」
「愛人、なんて味気ねー関係はやめだっつったんだよ」
 この前、躊躇せずにすぐに伝えていればよかったと思いながら、ザンザスは今度こそ誤解を与えないように言った。
「・・・愛人、じゃねーなら、なんだ?」
「・・・言わせる気か?」
 趣味悪いと一瞬思うが、見上げてくるディーノのどこか不安そうな表情に、ただ確かめたいだけなのだと読み取る。やはり言いづらいが、ここで渋ってはまた同じことの繰り返しになるかもしれないと、ザンザスは今まで口にしたこともない単語を搾り出した。
「・・・・・・こ、いび・・・と・・・か?」
「・・・・・・」
 ディーノはまた目を丸くしてから、今度は耐え切れないように、噴き出すように笑い始める。
「お、おまえの口から、こ、恋人って・・・!」
「・・・・・・・・・」
 ザンザスも柄ではないと思うが、ディーノはそんなに可笑しいのか、顔を押さえて笑い続けた。
 一向にやまないから、ザンザスはせっかく言葉にしたことを後悔したくなる。
「おい、いつまで・・・」
 少々腹立たしい気分で文句を付けようとしたザンザスは、しかし途中で言葉をとめた。体を震わせて、笑っていたはずのディーノが、逆にまるで泣いているようにも見えたのだ。
 慌てて顔を覆う腕をどかせば、ディーノの潤んだ瞳がザンザスを見上げてくる。泣かれるよりは笑われるほうがずっとマシだと、ザンザスはすぐに思い直した。
「んで、てめー・・・」
「だ、だって、オレ・・・なんで、おまえが・・・」
 ザンザスからの告白は、よっぽど思ってもいなかったことなのだろう。
 混乱したように意味をなさない言葉を並べるディーノを、ザンザスはついあやすように抱きしめていった。するとディーノも、すぐにギュッとしがみ付いてくる。
 こんなふうに、ピタリと抱きしめ合うだけで得られる幸福感を、ザンザスはディーノのおかげで初めて知った。
「ザンザス・・・」
 まだ少し震えている声に呼ばれ、顔を覗き込んでいけば、ディーノはやっぱり僅かに潤んだ瞳で、それでもしっかりとザンザスを見つめてくる。
「オレ、おまえのこと好きだ」
「あぁ」
「ずっと前から、好きだった」
「あぁ・・・俺もだ」
 ザンザスも自然に答えて、そのまま唇を合わせていった。やわらかく触れる感触に、ジワリと心地よい感覚が体中に広がる。
 何度も口付け、このままディーノを抱こうと考えたザンザスは、しかしふと思って聞いてみた。
「・・・いつから、だったんだ?」
 愛人関係になるきっかけを作ったのはディーノで、そのときすでに自分のことを好きだったのだろうか。ザンザスの疑問に、ディーノは少し言いにくそうに、ポツリと答えた。
「・・・・・・初めから」
「・・・バカか。だったら最初からそう言えばよかったじゃねーか」
 そうすればこんなふうにすれ違うこともなかったのに、遠まわりをすることもなかったのに、とザンザスは惜しむような気持ちになる。だがディーノは、僅かに恨めしそうな視線をザンザスに向けてきた。
「そんなことしたら、撥ね付けられて終わりだったろーが」
「・・・・・・・・・」
 言われてみれば、確かにそうだろう。あの頃のザンザスは、好きだなんて言われても、理解出来るはずがなかった。ディーノの選択は、正しかったのかもしれない。
 でも、そうだと思ったとはいえ、愛人でもいいから、なんて。
「そんなに・・・俺のこと好きなのか?」
 ザンザスは思わず問い掛けてから、その言いように調子に乗るなと怒られるかと思った。しかしディーノは、予想に反して微笑み掛けてくる。
「ああ、そーだよ」
 躊躇わず肯定するディーノを、ザンザスは思わず再度ギュッと抱きしめた。すると嬉しそうに笑う気配が伝わってくるから、益々その腕に力を篭める。
 そして湧き上がるこの感情こそが、愛おしさなのだと、ザンザスはもう知っていた。




 END
タイトルを「愛人いかが?」とか「愛人のススメ」とかふざけたものにしたくなるのをなんとか我慢しました(笑)
今さらですが、ザンザスの喋り方がよくわかりません…