告白、その後



 やわらかい口付けからも、肩を抱きしっかり体を支えてくれる腕からも、雲雀の気持ちが伝わってくるようだった。
 雲雀の空いている左手が、ディーノの髪を輪郭を確かめるように撫でてゆき、堪らなく心地いい。こんなふうに雲雀と触れ合えるなんて、やっぱりおめおめでも生き延びてよかった、告白してよかったと思った。
 ゆっくりキスを解いていく雲雀を、ディーノは見上げていく。
「・・・で、返事は?」
「・・・・・・・・・」
 一応そこは確かめておかないと、とディーノが問えば、雲雀は眉をしかめた。それから、なんの言葉もなく、ディーノの体を支えてくれていた腕をスッと引いていく。
 当然支えを失って、ディーノは背中から絨毯に倒れ込んだ。
「ん、ぎゃ!」
 ベッドから床までほどの落差はなく、さっきほどの衝撃ではないが、体中が痛んで呻き声がもれる。特に痛んだ胸の傷を押さえながら、ディーノはよろよろと上半身だけ起こした。
「な、何するんだよ・・・」
 さっきも傷を遠慮なく突いてくれたし、酷くないかと恨みがましい視線を向ける。雲雀は、しかしディーノに向けていた涼しい顔を、すぐにフイッと逸らしてしまった。
「じゃあね」
 そしてへたり込んでいるディーノに構わず、踵を返すとスタスタと扉のほうへ歩いていく。
「・・・えっ、恭弥!」
 もう行ってしまうのかと、ディーノが思わず引き止めるように声を掛ければ、雲雀はピタリと足をとめた。扉を開こうとしていた手をとめて、ディーノを振り返る。
「・・・あなたの傷が治るころ、また来るよ」
 そう、一方的に言って、雲雀は今度こそ部屋を出ていった。


 そして雲雀は本当に、ディーノの怪我がすっかり治った頃、一体どこから情報を得ているのかそれを見計らったかのように突然やってきた。
「恭弥! 久しぶ・・・り・・・?」
 ディーノの私室に遠慮なくズカズカと入ってきた雲雀は、驚きながらも歓迎しようとするディーノに、挨拶も愛想笑いの一つもしない。ただディーノの腕を掴んで、さらにズカズカ部屋の奥へと引っ張っていった。
「恭弥? ・・・っわ!?」
 どうしたのだろうと思いながらも引かれるままついていったディーノは、雲雀によって乱暴に、ベッドに放り投げられてしまう。
 やっぱりこの前から、雲雀の自分の扱いがちょっと手荒になった気がすると思いながら、ディーノはうつ伏せに倒れ込んだ体を起こそうとした。
 しかし、続いてベッドに乗り上げてきた雲雀に、肩を押さえ込まれ今度は背をシーツにつけることになってしまう。
「・・・ど、どうしたんだ?」
 そしてジッと見下ろしてくる雲雀は、またどこか怒っているようにも見えるから、ディーノは控え目に問い掛けた。それに対して、雲雀はさらに眉をしかめ、答えは返してくれない。無言で、ディーノの口を塞いできた。
「んっ!?」
 唐突さに驚いたが、雲雀からのキスを拒む理由はディーノにはない。そのまま、雲雀の口付けを受け入れ合わせていった。
 だが、次第にそのキスが、予想外に深くなっていく。舌が絡まり合いピチャリと水音が立つような濃厚さは、明らかに性的なものを孕んでいた。
 ベッドの上で雲雀に組み敷かれている形になっている自分の状況を思い出し、ディーノは途端にまずい気がすると思い始める。
 さらに、ディーノの危惧を裏付けるように、雲雀の手が服の裾からスルリと入り込んできた。
「っ、きょ、うや!」
 ディーノは慌てて雲雀を押し返し、声を上げる。勝手にどんどん進めていこうとする雲雀に、とてもついていけなかった。
「ちょ、ちょっと待てよ!」
「・・・だから、待ってあげたでしょ?」
 ディーノの制止の言葉も聞かず、雲雀はスッと指を滑らせ左胸の傷跡に触れてくる。ゆっくり辿るように撫でられれば、ゾクリとした感覚を覚えながらも、ディーノは困惑して雲雀を見上げた。
「・・・・・・・いや、でも・・・」
 だからディーノの怪我が治ってから訪ねてきたのだとすれば、雲雀としては筋が通っているのだろう。しかし、そんなのは雲雀が勝手に決めたことで、ディーノは全くあずかり知らないことだ。
 とても納得出来ないディーノに、雲雀は不機嫌そうに眉をしかめ低く問い掛けてくる。
「あんなふうに、言うだけ言っておいて、それっきりのつもりだったとでもいうわけ?」
「・・・いや、それは・・・」
 雲雀に好きだと告げた、最初のあの瞬間は、もう自分は死ぬのだと思っていたから確かにそれっきりのつもりだったと言えるかもしれない。だが勿論、こうやって生き延びて、雲雀がディーノの思いに応えてくれるのなら、そんなに嬉しいことはない。
 ないが、でもそれとこれとは別じゃないか、とディーノは思った。雲雀のことは好きだが、当たり前のように押し倒される謂れはないと思うし、それにまだ雲雀の気持ちをハッキリと聞いたわけでもないのだ。
 おそらく、雲雀も同じ思いでいてくれているのだろう。キスなんて、冗談や成り行きでするような男ではない。それでもやっぱり、ちゃんと言葉で聞きたかった。
「そりゃ・・・おまえと、ちゃんと付き合っていけるんなら、嬉しいけど・・・」
 オレは、と。おまえはどうなんだと向けるディーノの視線に、しかし雲雀は気付いていないのか、それとも敢えて無視しているのか。
 全く頓着せずに、涼しい顔で言い放った。
「じゃ、いいでしょ。抱かせなよ」
「なっ!?」
 ハッキリ言葉にして言われ、やっぱりそのつもりなのかと思い知ったディーノは、とっさに雲雀の体を押し返そうとする。
「いや、だから・・・!」
「聞かない」
 しかし雲雀は有無を言わせぬ口調で、強引にでもことを進めようとしてきた。制止をかけようとするディーノの両手首を掴み、力任せにシーツに縫い付けてくる。
「っ、恭弥!」
 抗議するように名を呼べば、雲雀はまた眉間に皺を刻んだ。この雲雀の表情を、この前から何度も見ていると、ディーノは気付く。
 手首を掴む力は痛いほど強く、雲雀は元々乱暴ものではあるが、少なくともディーノに対してここまで手荒な真似に及ぶことはなくなっていたのに。
「・・・恭弥、なんか・・・」
 ディーノは感じたことを、そのまま問いにして雲雀に向けてみた。
「この前から・・・怒ってるか?」
「・・・・・・・・・」
 すると雲雀は、睨むような強い眼差しで、ディーノを見据えてくる。
「僕が・・・どうして怒っているかわからないって言うのなら、余計に腹立たしいね」
「・・・・・・・・・」
 怒っていることを否定しない雲雀は、不機嫌そうに顔を歪めながらディーノに口付けてきた。同時に、雲雀の右手が再びディーノの服の中へ潜り込んでくるが、自由になった左手をディーノは迷わせる。
 雲雀が怒っている、ディーノはこの前最初、身勝手な告白に付き合わされたからだと思った。好きだと一方的に告げて死ぬなんて、好きでもない人にされたら迷惑で嫌だろう。
 だが、雲雀はディーノのことをなんとも思っていないわけではない、だからこそ怒りのような感情を覚えたのではないかと今ディーノは思った。
 死の間際の身勝手な告白は、好きな人にされたほうが、きっときついだろう。反対の立場を想像してみて、ディーノはそんなの堪らないと思う。
 いや、告白の言葉なんてなくても。自分の腕の中で愛する人が死んでしまうと思ったときの、その恐怖と喪失感。
「・・・ん、っ・・・」
 ディーノの首筋に顔をうずめてきた雲雀が、遠慮なくガリと歯を立ててきた。痛みが奔るほどの刺激に続けて、ねっとりと舌を這わせ強く吸い付いてくる。服の下でうごめく指が、隅々まで肌を撫でていく。
 雲雀はもしかしたら、手っ取り早く肌を合わせ体を重ねて、安堵したがっているのかもしれないとディーノは思った。雲雀に、一度でも抱かせた喪失感を、埋められるのは自分だけだろう。
 ディーノは迷わせていた左手を、雲雀に伸ばしていった。雲雀が抵抗を警戒して意識を向けるのを感じながら、その背に添わせゆるやかに撫でる。
 すると、雲雀はその意思を確認するように、ディーノを見下ろしながら未だに強く拘束している右手をそっと解いていった。ディーノはその手も、同じように背にまわしていく。
 こうやって自分から雲雀に手を伸ばすことも、思いを口にすることも、ディーノはずっと自分に禁じていた。でももう一度表に出してしまえば、今さら躊躇しても意味はないし、もう繕うことも出来そうにない。
 ならばもう、雲雀を愛しく思う心に素直に、それを伝えるしかないだろう。
「恭弥・・・好きだ、愛してる」
「・・・・・・・・・」
 また、雲雀の眉が少し寄った。ディーノからの告白は、どうしてもあのときのことを思い出させるのかもしれない。
 それでもディーノに言葉をとどめることは出来ず、再度呟きながら雲雀の頭を引き寄せ、唇を重ねていった。すぐに応え、入り込んでくる雲雀の舌に自らのを絡めながら、ディーノはこんなふうに雲雀と触れ合える喜びを感じる。
 それから、不謹慎だけれど、生き延びた今だから言えることだけれど。自分という存在がこんなふうに雲雀を揺さぶれた、ディーノはそのことが嬉しかった。


 雲雀がようやく脱いだスーツを、上着の内ポケットから何か取り出してから無造作にベッドの端のほうに放り投げた。
 雲雀の手に残ったものがなんだろうと思ったディーノは、すぐ目の前まで持ってこられて、その正体につい少し頬を赤くする。
「・・・そ、んなの用意してたのか?」
「当たり前でしょ。その為に来たんだから」
 思わず問い掛けたディーノに、雲雀は平然と答えた。いわゆる、ローションと呼ばれる代物を持参してきた、雲雀の用意周到さにディーノは舌を巻く。
 ここに来るとき、いやおそらく前回また来ると言ったときから、雲雀はそのつもりだったのだろう。雲雀がそんなふうに自分を欲している、そう思ったディーノは無意識にゴクリと喉を鳴らしていた。
 不安と、期待と、喜びと。口付けてくる雲雀の背に、自然と縋るように腕をまわして強く抱いた。
「・・・っ、う・・・」
 キスを続けながらも、雲雀の手がディーノの後方に伸びてくる。ぬるりとした触感と共に入り込んでくる指は、慣れない痛みと違和感をディーノに与えてきた。
 まさかこの年になってこんな経験をすることになろうとは思っていなかった、なんてつい考えながらディーノは雲雀との口付けに意識を寄せてそんな感覚をごまかしていく。
 意外に丁寧に慣らしてくれる雲雀の指は、戸惑わずディーノの体内でうごめいた。
「ん・・・ん、っぁ」
 やがて、信じがたいことに湧き上がってくる痺れるような感覚に、ディーノは思わず喉を鳴らす。それから、なんだか気まずくて繕いたくて慌てて雲雀に視線を向けたディーノは、ドキリとした。
 ジッとディーノを見つめている、雲雀の眼差しは、酷く熱っぽい。
「・・・恭弥」
 ディーノは雲雀の成長をずっと見守ってきたつもりだったけれど、こんな表情をするなんて知らなかった。すっかりと大人びた輪郭に指を滑らせながら、よく今まで互いに互いの思いに気付かずにきたものだと思う。
「恭弥・・・」
 雲雀と同じく、溢れ出す愛しさを隠せずディーノはもう一度雲雀の名を呼んだ。返事の代わりのようにキスを落とされ、そのまま舌を絡ませ合いながら、雲雀がゆっくりとディーノの脚を抱え上げてくる。
 いざとなればやはり怯み抵抗したくなる自分をどうにか抑えようとするディーノに、雲雀が意外な言葉を向けてきた。
「怖いなら、逃げてもいいよ」
「・・・え?」
 いいのか、とディーノが思わず目を丸くすると、今度は雲雀らしい言葉が返ってくる。
「それくらいのほうが、張り合いがあって面白いからね」
「な・・・・・・っ、あっ!?」
 それって結局逃げられないってことじゃないか、とちょっとガックリしそうになったディーノは、しかしビクリと身を竦ませた。前触れなく、雲雀が挿入を開始したのだ。
 構えているのは逆効果かもしれないが、それでもろくに心の準備をしていなくて、つい雲雀を押し返す。
「ちょ、っと・・・待て・・・って!」
 反射的に退こうとするディーノの体を、やっぱり雲雀は逃がしてくれず、しっかりと抑え付けさらに腰を進めてきた。
 ローションのぬめりのおかげもあって、割合スムーズに入ってくるが、それでもその苦痛と異物感は小さくはない。
「っは、ぁ・・・い、てぇ・・・」
 呼吸の合間に呻くように言っても、雲雀は動きをとめず平然と言ってきた。
「でも・・・死ぬかと思ったときの痛みよりは、ましでしょ?」
「・・・ん、なの・・・っ」
 確かにあのときも相当痛かったが、そんなの比べようがない。この痛みも生きている証、なんて前向きに捉えようとしても、やっぱり痛いものは痛くてつらかった。
「・・・仕方、ないね」
 見かねたのか、それとも単に内部がきつかったのか、雲雀はすっかり力を失っているディーノ自身へ指を添わせてくる。そしてやわやわと扱かれれば、すぐに反応して熱を持っていくから、ディーノもそっちへ意識を向けていった。
「ふ・・・ぁ、・・・っ」
「・・・ん、いいね」
 雲雀は満足そうに言いながら、さらに結合を深くしていく。さらにそのうち、ゆるゆると前後に動かし始めた。
「っあ・・・う、・・・っ・・・」
 前からの快感とうしろの苦しさが同時に襲い掛かってきて、ディーノはわけがわからなくなっていく。ただ揺さぶられるのに合わせて、呼吸まじりに喘ぎとも呻きともつかない声を上げるディーノに、ふと雲雀が問い掛けてきた。
「・・・ねぇ、あなた」
「・・・ぇ、あ・・・?」
「出会った頃から・・・僕のこと好きだったって、言ったよね」
「・・・そう、だっけ?」
 どうしてこんなときにと思いながら、雲雀が少し動きをゆるめるから小休止だろうかと、ディーノはあまり働かない頭で思い出そうする。しかしあのときの記憶は曖昧で、やはりハッキリとは覚えていなかった。
「でも・・・多分、そうだったんだと・・・思う」
 出会ったあの頃からずっと、ディーノは雲雀に惹かれ続けていたのだろう。こんなふうに、なれると思ってはいなかったしなりたいとも思っていないつもりだったが、多分ずっと、なりたかったのだろう。
 そう思えば、多少痛かろうが苦しかろうが、この状況はとても幸せなことなのだとディーノは思った。
 なんだか変な気負いが消えて少し楽になった心地で、にしても雲雀がどうしてこんなことを突然問い掛けてきたのだろうと疑問を抱く。
「それが・・・?」
「・・・別に」
 雲雀は少しの間とめていた動きを再開しながら、そのまま濁してしまうのかと思えば。
「ただ・・・少し、勿体ないことをしたと、思ってね・・・」
 こんなにいいなんて、と息を吐きながら言った雲雀は、満足そうに笑ってディーノに口付けてきた。その表情も、ディーノが今までに見たこともないもので。
 体勢的にはきついが、ディーノも腕を伸ばして雲雀の後頭部を引き寄せ背を抱いた。
 雲雀が、自分で感じてくれている、こんなふうに息を乱して熱くなってくれている。ディーノは身震いしそうなほどの喜びと共に、雲雀への愛情を改めて感じた。
 雲雀の動きに合わせ、痛いだけではない感覚がディーノの体を支配していく。さすがにキスは解け、互いの荒い呼吸が互いに興奮を知らせた。
「ん、恭弥・・・、ぁっ・・・」
 いつのまにか、雲雀が中を行き来するたびに熱くて、気持ちよくて堪らなくなっていく。次第に激しくなっていく抽挿に、ディーノはどんどん高められていった。それは雲雀も同じだったようで、やがて深くまで入り込んでくると動きをとめ、息を詰まらせる。
「・・・っく、・・・は・・・ぁ」
 雲雀から流れ込んでくるものを感じると同時に、ディーノもまた登りつめた。荒く呼吸をしながら、凭れ掛かるようにしてくる雲雀と、そのまましっかり抱き合う。疲労感はあるが、溶け合えたような満足感のほうが大きかった。
「・・・・・・なあ、恭弥」
 しばらくそうしていたが、しかしやっぱり疲れた体に雲雀が重くなってきて、ディーノは声を掛ける。すると雲雀は体を起こし、離れていくのかと思えば、逆にディーノへと唇を合わせてきた。
 キス自体は気持ちよくて喜んで受け止めながら、しかし同時に未だ内側にある雲雀のそれが、全く力を失っていないのに気付く。ディーノは嫌な予感がして、控え目に雲雀の体を押し返した。
「・・・・・・ちょっと待て、まさか・・・」
「一回で終わるわけないでしょ」
 疑いを先回りしてアッサリ宣言しながら、雲雀が僅かに腰を揺らしてくるから、ディーノは怒るというより焦るというよりちょっと呆れてしまう。
「おまえ・・・オレは初心者だぞ、ちょっとは気遣え」
 取り敢えず逃げようとしてみながら文句を付ければ、雲雀は簡単にそれを押さえ込みながらしれっと答えた。
「だから、治るの待ってあげたって言ってるじゃない」
「・・・・・・・・・」
 確かに、それも気遣いとは言えなくないが、どうせ雲雀自身が遠慮せずにすむ為なのだろう。とはいえ、ディーノが怪我をしていれば遠慮せざるを得ない、そう思ってくれる気持ちは嬉しい気もする。
 それに何より、雲雀に欲しがられれば、どうせ最後まで抵抗なんて到底出来ないのだ。
 仕方なく諦めて付き合うにしても、もう少し休みたいから時間稼ぎに、ディーノはしつこく話題を戻してみた。
「で・・・返事は、くれねーの?」
 もう聞かずともわかるが、せっかくだから言葉にしてもらいたい気もする。ディーノが問い掛ければ、雲雀は少し考える素振りをしてから、小さく笑って言った。
「そうだね・・・今度、あなたがくたばりかけたときに、言ってあげるよ」
「・・・・・・・・・」
 冗談めかしてはいるが、やはり相当根に持っているようだ。でも、その怒りこそが、ディーノを思っている証拠だろう。
 そう思えば、申し訳なさを覚えるとはいえ、それ以上に嬉しかった。
「・・・それ言うなら、恭弥がくたばりかけたとき、じゃねーの?」
「僕があなたより先に死ぬわけないじゃない」
「ハハ、そーかもな」
 雲雀の断言は尤もな気がして、思わず笑ってしまうディーノに、また口付けが降りてくる。今度はすぐに深くなっていくから、観念して雲雀の背を抱きながら、ディーノはチラリと思った。
 雲雀の愛の言葉を聞きながら死んでいくのも、きっと悪くはない。




 END
ちなみに雲雀は、ディーノが死ぬと思ったとき、初めて自分の気持ちを自覚しました。

あと、わかりにくいですが、雲雀がスーツを脱ぐ前の改行中にもそこそこのことはしてます。(どうでもいいといえばそうですが…笑)
そして、エロは省ける気がすると思いつつ、「勿体ないことをした」て言わせたかったから書いたのですが。事後に言わせりゃよかったと、あとで気付きました。(でも、用意万端な雲雀も書きたかった…笑)