Every Jack has his Jill.
戦っている最中、相手はおろか自分のことにも構わない雲雀は、怪我を負ってしまうことが少なくない。今日もそうで、ベッドに押し倒されたディーノは、しかし雲雀の腕に巻かれた包帯がどうしても気になった。
「ダメだ、恭弥、怪我してんだろ」
ディーノが腕で押し返すようにすると、雲雀は眉をしかめる。しかし、不機嫌そうな表情は一瞬で消え、雲雀はすぐに口の端を歪めるようにして笑った。
「じゃあ・・・あなたが、して、くれるの?」
「・・・え?」
「そういうのも、いいかもね」
どういうことだろうとディーノが理解する前に、雲雀はさっさ決めてしまう。ディーノの腕を引いて、自分の上に覆いかぶらせるようにしながら、ベッドに横たわった。
雲雀を見下ろす体勢になって、ディーノはようやく雲雀の言っていることを理解する。自分が積極的に動け、ということなのだろう。雲雀の思うがままに扱われるセックスに慣れてしまっているディーノは、いざ主導権を渡されてもすぐには反応出来なかった。
戸惑うディーノを、しかし雲雀は待ってはくれない。
「ねぇ、早くしなよ」
雲雀はそう言いながら遠慮なく、ディーノの股間をギュッと掴んできた。そのままやわやわと刺激されれば、ディーノの体温が簡単に上昇する。
「・・・っん」
「ほら、もうその気なんでしょ?」
問い掛けてくる雲雀に、否定して返すことなどディーノにはもう出来なかった。引き寄せられるように、雲雀に口付けていく。
チュッと唇を合わせても、雲雀のほうからいつものように舌を差し込んではこなかった。だからディーノのほうから、舌を伸ばして雲雀の熱を煽っていく。まるで、その気のない雲雀を必死でその気にさせようとしているようで、ディーノは居た堪れないような気分になった。
いつもならもうディーノの肌に触れている雲雀の手は、ただベッドの上に投げ出されている。代わりにディーノが、左手で体を支えながら、右手を雲雀の服に伸ばしていった。
しかし、片手では雲雀のシャツのボタンが上手く外せない。仕方なくキスを解いて、少し体を起こしてボタンを外しながら、ディーノはチラリと雲雀に視線を向けてみた。
雲雀は、ディーノのなすこと表情全てを見逃さぬよう、ジッとその黒い瞳でディーノを見つめている。その視線だけで、ディーノは自分の体温がまた少し上昇するのを感じた。
「・・・・・・」
直接的に何もされてはいないのに、息が上がりそうになるのを抑えて、ディーノは雲雀のシャツの前を開いていく。しかし、その肌に残る打ち身などのまだ新しい傷跡を目にして、ディーノは触れるのに躊躇いを感じた。
こんな怪我を負っている人と、何をしようとしているのだろうと思えば、罪悪感めいたものを覚える。だがうしろめたさは同時に、ある種の快感を増幅するものでもあって。知らずディーノの吐く息は熱を持っていく。
「・・・ねぇ、何してるの?」
「あ、うん・・・悪い」
手をとめていたことを咎めるような声に、ハッとして動かそうとしたディーノの腕を、雲雀が掴んだ。そして、自分の股間へと導いていく。
「こっち、してよ」
「・・・うん」
ディーノは思わず喉をゴクリと鳴らしてから、雲雀のベルトへと手を伸ばしていった。
こうやってディーノが雲雀の服を脱がせるのは、もしかしたら初めてかもしれない。いつもディーノはいいように翻弄されて、一体いつ雲雀が服を脱いだのかわからないこともあるくらいだった。
ベルトを外し、ズボンと下着を引き下げて、雲雀の性器を取り出す。そして手で扱こうとするディーノに、雲雀が注文をつけてきた。
「手じゃなくて、口で、だよ」
「えっ・・・?」
思わずディーノが顔を上げれば、小さく笑う雲雀の瞳が、出来るよね?と語り掛けてくる。主導権なんて、雲雀はディーノにあげたつもりなどなかったのだろう。逆らうことなど出来ず、ディーノは指を添えているそこへ、そろそろと口を近付けていった。
まだしたことのない行為、それ自体に対する躊躇いはないが、ジッと見つめてくる雲雀の視線がディーノの羞恥を煽る。それでもディーノは、雲雀の視線を気にしないことにして、唇を寄せていった。
根元を指で支えて、舌を差し出しゆっくりと這わせていく。雲雀は上体を起こして、そんなディーノの髪に指を通した。
「下手だね・・・もっと、上手くやってよ」
「ん・・・」
そう言われても経験がないディーノには勝手が掴めず、それでも異を唱えることなく続ける。
必死に舌で舐め指で扱いていくと、それに合わせて次第に勃ち上がっていく雲雀の性器に、ディーノはなんだか愛しさのようなものを感じ始めた。
耳に届く雲雀の呼吸音に、髪を梳きながらたまに耳や首に触れてくる雲雀の指に、ディーノは頭が痺れるような感覚を覚える。
「・・・は、・・・っん、む」
「・・・ねぇ」
雲雀はディーノの頭を掴んで、側面を舐めるばかりだったディーノに、しっかりと自身をその口に含ませながら問い掛けてきた。
「いつも、これがあなたの中に、入ってるんだよ。どう?」
「・・・っ、ふ、ぁ」
口にめいっぱい咥え込んだ、これ、が。いつも内側で感じる熱を口内で感じ、その形を確かめていくような行為に、ディーノの体をゾクゾクと疼くような感覚が襲った。
「にしても・・・全然、上手くならないね」
嘲るような口調で言いながらも、雲雀のものは興奮しきって、ディーノの口内を埋めている。
頭を揺さぶってくる雲雀の動きに合わせて、たまに喉を突かれて呻きながらも、歯を立てないよう気を付けて。溢れてくる雲雀の先走りとディーノの唾液が絡まりピチャピチャと音を立て、ディーノの口元から顎へ伝い落ちていった。
ディーノの髪に触れる雲雀の手が、耐えるようにしばしば強張り始める。上から届く熱い吐息に乗せられるように、ディーノは頬張っている雲雀を強く吸い上げ刺激していった。
「・・・っ、そろそろ、いくよ」
掠れた声でそう言った雲雀は、ディーノの頭をしっかりと押さえ付けておいてから、ブルリと体を震わせる。
「んぐ・・・っ!」
反射的に口を離そうとしたのはやはり抑えられ、噴き出した雲雀の精が、ディーノの喉に遠慮なく流れ込んできた。さらにドクドクと溢れ出していく粘液を、防ぐことも逃れることも出来ず、嚥下していくしかない。
「・・・ん、っふ、・・・は」
ようやく頭を押さえる手が外れていって、口を離すことが出来たディーノは、まだ口内に残る精液をゴクリと飲み込んでからハァと一息ついた。
「・・・全然、だね」
そんなディーノの疲労でゆるんだ口元を、指で拭いながら、雲雀が笑う。
「これから、ちゃんと、仕込んであげるよ」
「・・・・・・・・・」
嫌だ、なんて言葉は口から出てこず、ディーノはただゴクリと喉をもう一度鳴らした。そんなディーノに、さらに満足そうに目を細めてから、雲雀は命じてくる。
「服、脱いで」
「・・・・・・・・・」
やはりディーノは、嫌だなんて言えなかった。射抜くような雲雀の視線を感じながらも、自分の服に手を掛けていく。
ディーノが自分で自分の服を脱ぐのも、そうはないことで。いつもは、いつのまにか雲雀に剥ぎ取られてしまうのだ。
それを自分で脱がなければならないというのはなんだか落ち着かず、そしてもう一つ違う理由で、ディーノの手は躊躇う。しかも相変わらず雲雀がジッと見つめてきていて、だからこそ、ディーノは手をとめられなかった。
上着を脱いで、ベルトを外しながらどこまで脱がなければならないのだろうと考えていると、それを読んだように雲雀が「全部だよ」と言ってくる。ディーノは湧き上がる羞恥心を抑えながら、ズボンと下着をまとめて脱いでいった。
やはり、外気に触れたディーノの性器は、すでに反応し始めている。気まずくて視線を伏せるディーノに、雲雀がクスリと笑う気配が届いた。
「ワオ、もうこんなになってる」
わざと辱めるように言いながら、雲雀の指がツーっと撫でてくる。
「ねぇ、どうしてこんなふうになってるの?」
「・・・それは、・・・・・・っひ!」
とても口に出来ず、答えを濁そうとすれば、加減せず先端をガリっと引っ掻かれてしまった。咎めるような仕打ちに、ディーノは一瞬詰まらせた喉から、言葉を搾り出していく。
「・・・恭弥、の・・・舐めてたから」
「それだけで、こんなに? それとも・・・」
雲雀の指が、さっきの刺激でさらに勃ち上がっていくディーノの性器から逸れ、スルリと後孔に伸びていく。
「想像した? 僕のを舐めながら・・・それが、ここに入ってくるときのことを」
「・・・っ、」
確かにその通りで、見抜かれたこともその事実そのものも恥ずかしくて、ディーノは羞恥に頬を染めた。さらに、ゆるゆると入り口を撫でられる感触が、どうしてもディーノの期待を煽って。それにも雲雀は気付いているだろうとわかってはいても、雲雀を受け入れるそこが先を求めるようにヒクリと動くのを、ディーノは抑えることが出来なかった。
雲雀は、しかしそれ以上は言葉を重ねず、軽く笑みながら再びベッドに背を預けていく。やはり今日は、ディーノが積極的に動かなければならないようだ。勿論それは形の上だけで、実質的な主導権はいつものように、雲雀がしっかりと持っているが。
ディーノはそろりと雲雀に跨っていこうとして、しかしふと思い出す。少し躊躇を感じながらも、脱ぎ捨てたばかりの服のポケットから、それを取り出して雲雀に差し出した。
雲雀はその、セックスにしか使い道のないローションを受け取って、可笑しそうに笑う。
「へぇ・・・あなた、こんなのいつも持ち歩いているの?」
「・・・今日は、するかもって・・・思って」
いつも持ち歩いているわけではないと、思わず言い返したディーノだが、すぐに自らの言葉の意味するところに気付いてしまった。そして雲雀が、それを見過ごすわけもない。
「ふぅん・・・今日は、僕に、抱かれるつもりだったんだ。期待、してたの?」
「・・・・・・・・・」
今日雲雀とセックスするかもしれないと思って、ローションだって用意していて、それを期待と言われればディーノに否定は出来ない。
「望み通り、して、あげるよ。おいで」
「・・・・・・ん」
意識せずコクリと頷いて、ディーノは這うように雲雀の上へと体を進めていった。這いつくばるような体勢のまま顔の位置が揃うところまでいって一旦動きをとめれば、雲雀にもう少し前方にずれるよう言われその通りにする。
雲雀の上半身の半ば辺りに腰を持っていけば、ちょうど目の前に壁が見えて、ディーノは体を起こしてそっちに手をついた。上体を前に倒したおかげで、ディーノはちょうど真下に雲雀の顔を眺めることになる。
そして、ディーノと視線を合わせるよう見上げてくる雲雀が、ゆっくりと口の端を上げていった。それが何かの合図のように思えて、それだけでディーノの体は期待で熱くなる。
雲雀が見せ付けるようにことさらゆっくりと、ローションの蓋を開け右手を潤していった。そしてひやりと冷たい感触が、後孔に触れてくる。そのまま、ローションをたっぷりつけた雲雀の指は、たいした痛みもなく入り込んできた。
「・・・ん、・・・ぁ」
内側を掻きまわされれば、すぐにディーノに紛れもない快感が湧き上がっていく。雲雀はディーノの性器には戯れに軽く触れる程度にとどめ、しかしそこは内側からの刺激だけでもうすっかり勃ち上がっていた。
「そんなに、僕の指が気持ちいい?」
「・・・っふ」
「ねぇ、聞いてるんだけど?」
「っあ、ん・・・!」
再度問い掛けると同時に強く刺激されて、ディーノはブンブンと首を縦に振ったが、雲雀の手はとまらない。
「・・・気、持ちいい」
だからなんとか言葉で答えれば、雲雀はさらに意地悪く問い掛けてきた。
「ふぅん・・・じゃあ、これはいらない?」
すでに天を向いている自分の性器をディーノの太腿に擦り付けながら笑う。
「指で、満足なんでしょ?」
「っ、・・・や」
指なんかじゃ足りない、ディーノがつい首を横に振れば、ズルリと指を引き抜かれた。
「じゃあ、行動で示しなよ」
「・・・・・・」
言われるままに、雲雀からの痛いほどの視線を感じながら、ディーノは腰を落としていく。さっき散々口で形を確かめた雲雀の性器を、内側に受け入れていく。
「・・・ねぇ、どんな気分?」
「・・・ぇ・・・?」
すると雲雀が、ふと問い掛けてきた。
「ずっと年下の男に、自ら犯されていくって、どんな気分?」
「・・・っ・・・!」
つい意識して雲雀を締め付けてしまうと、雲雀はゆるゆるとディーノの性器を撫でながら可笑しそうに笑う。
「へぇ、興奮するんだ・・・」
そしてようやく全部納め終えて、ホッと息をつくディーノに、早速命じてきた。
「ほら、早く動いてよ」
「・・・・・・・・・」
やはり待っていても望む刺激は与えてもらえそうになくて、ディーノはゆるゆると腰を動かしていく。この体位は初めてで、勝手が掴めない。ただ腰を上下に動かすだけの単調な動きしか出来ず、それでもディーノにゾクゾクと快感が沸き上がっていった。
「・・・ん・・・ぁ・・・」
「ねぇ、一人で気持ちよくならないでよ」
「う、ん・・・」
咎めるように言われても、ただ抜き差しを繰り返すしか出来ない。下から雲雀に見つめられているから、羞恥で動きも硬くなった。
「あなた、本当に下手だね・・・」
すると雲雀はそう呟いて、ギュッとディーノの性器の根元を握る。そして、腰を突き上げてきた。
「っあ、は・・・っあ!」
突然加わった強い刺激にディーノは背をしならせるが、雲雀は構わずそのまま続けて突き上げてくる。緩慢な刺激に馴染んでいたところに、遠慮なく激しい刺激を与えられて、ディーノに急速に熱が高まっていった。
だが、未だ雲雀はディーノの性器の根元を握ったまま。
「・・・っ、恭弥ぁ・・・!」
ディーノは堪らず雲雀の手に触れて訴えたが、雲雀からの返答はにべもない。
「駄目だよ。一人で気持ちよくなってた、あなたには罰を与えないと」
聞き入れてはくれず、強くディーノの内側を抉りながら、愉しそうに言った。
「僕がいくまで、あなたはいかせてあげない」
「や・・・んなの・・・」
耐えられない、とディーノが首を振っても、雲雀は決して許してくれない。
「ねぇ、早く楽になりたかったら、あなたも協力しなよ」
「・・・・・・」
雲雀をいかせないと、自分もいけない。ディーノは雲雀の動きに合わせるように、自分も腰を動かしていった。
「ちょっとは、ましになったじゃない・・・」
「・・・っあ、・・・う、・・・!」
動けば動くほど、自分にも快感が募っていく。吐き出せない熱に苦しさを感じるが、ディーノはそれでも続けた。雲雀をいかせて、早く自分も楽になりたい、その一心で。
「・・・は、そろそろ、いくよ・・・」
「っ、・・・ん・・・ぁ・・・」
一際強く突き上げられ、続いて雲雀の精液が吐き出されるのを内側で感じた。だが、未だ雲雀の指はディーノの性器を締め付けたままで、ディーノは解放されない。
「恭弥・・・」
ねだるように名を呼ぶが、雲雀は指を外さず、自らをディーノから引き抜いていった。そして、体を起こすと、いつものようにディーノを組み伏せ見下ろしてくる。
「やっぱり、とてもあなたには任せられないね・・・」
「・・・・・・・・・」
待ち望んでいた気分になり思わず喉を鳴らしたディーノは、しかし雲雀の腕の包帯が目に入って、かろうじて残っている理性で首を横に振った。
「恭弥・・・ダメだ、怪我が・・・っ」
しかし、雲雀が後孔を撫でてくるから、言葉が詰まる。
「じゃ、いいの? このまま終わっても」
「・・・・・・・・・」
「僕は、いいけど? あなたは?」
まだ一度もいっていないディーノは、とてもこのままでは終われない状況だった。内側が、酷く疼いている。
「ねぇ、どうして欲しい?」
「それ、は・・・」
指でゆるゆると性器や後孔を撫でながら、雲雀が問い掛けてきた。
「ちゃんと、言葉で言いなよ」
「・・・・・・、っ・・・」
入り口の近くに、雲雀のすでに充分硬く熱い性器が触れてくる。ディーノは堪えられず、ゴクリと喉を鳴らしてから、口を開いた。
「・・・恭弥、それ・・・挿れ、て」
「これを、ここに?」
入り口に押し当てられて、ディーノは何も考えられず首を縦に振る。
「挿れて・・・それで、どうして欲しいの?」
なのに一向に入ってくる気配のないそれに、ディーノの焦燥は募るばかりだった。
「挿れて・・・いかせて、恭弥・・・」
「いきたいの?」
それが叶えられるなら、とディーノは恥を忘れて懇願する。
「いきたい、恭弥、ので、早く・・・っあ、ああっ!!」
前触れなく、雲雀が力強く入り込んできて、その衝撃でディーノは達した。しかし雲雀はそれに構わず、そのままさらに遠慮なく、ディーノの弱いところを突いてくる。
「っ、恭弥っ、待っ・・・っふ、ぁ!」
ディーノは呼吸を宥める暇も落ち着く余裕もなく、揺さぶられるままにまた高められていった。程なくして、また絶頂に追いやられる。
「・・・ぁっ・・・う、ん・・・!」
「・・・ん、はぁ・・・」
今度は雲雀も、再度ディーノに精を流し込む。そして脱力するディーノの体から、雲雀はまだ自身を抜き取らない。逆に、またゆっくりと動き始めた。
「・・・ぁ・・・恭弥、も・・・」
「何言ってるの?」
もう無理だとディーノは首を振って訴えるが、雲雀は可笑しそうに笑う。
「あなたが、いかせて欲しい、って言ったんじゃない」
グッと深くへ押し込み中を掻きまわしながら、囁き掛けてきた。
「だから、いかせてあげるよ・・・優しいでしょ」
「恭・・・弥っ! ぁ、う・・・っん!」
次第に激しくなる抜き差しに、ディーノは抗議もままならなくて。いつものように雲雀にしがみ付いて、抗えない快感に声を上げるしか出来なくなっていった。
疲れ果てて気を失うように眠っているディーノを見下ろす。行為中のいやらしい表情とは打って変わって、無邪気な寝顔に、僅かに雲雀の頬がゆるむ。
雲雀は、知っていた。雲雀の嗜好に合わせて、ディーノが虐められてくれていることを。雲雀の趣味に、付き合ってあげているだけ、だとディーノは割り切っているのだろう。
だが、雲雀は、知っていた。仕方なく付き合う、そのはずの行為を、ディーノが実は楽しんでいることを。
本人は否定するだろうが、ディーノは、そう、されることを期待している。望んでいる。雲雀を見つめるその瞳の、羞恥や抗議の奥に、歓喜が見え隠れしている。
だから、雲雀も余計に興が乗ってしまうのだ。割れ鍋に綴じ蓋、とでも言うのだろうか。
「もう、離れられないかもしれないね・・・」
雲雀は呟いてから、いつでも欲を煽り立てそして満たしてくれるその人へと、そっとキスを落とした。
END いつもとちょっと違うことしたら、思った以上にハマってしまった、というかんじのヒバディノでした。
最初は(雲雀が怪我してるから)大空戦後くらいにしようかと思ってたんですが。出会って一週間ちょいでこれってどうよ…、と思ってやめました。でも、フェラと騎乗位が始めて、ってことにしちゃったので、そんなに先の話でもないと思います(笑)
タイトルはそのまま、「割れ鍋に綴じ蓋」です。