ヒューゴ語録


*第3章*
 :相変わらず態度の悪いゼクセン役人:
 :勘違いの末、厚待遇
 :評議会議員の企み
 :興味があるのはシーザーよりもトーマスに
 :脱出


◇ビュッデヒュッケ城◇


軍曹
 「へぇ、わりと雰囲気の
  良さそうなところじゃないか。」
リリィ
 「そうねぇ。
  それよりも・・・・ずいぶんと、
  種族というか部族というか
  ゴッチャなところね。」
軍曹
 「とりあえずは城主に会えるかどうか
  聞いてみようぜ。
  まずはそれからだ。」


(玄関先でトーマスと評議会議員がもめている)


議員
 「ん?
  あれは・・・・グラスランドの蛮族の子か?
  まったく、これでは何がなにやらわからん。」
ヒューゴ
 「なんだと!」{1}
 「・・・・・・・・・・・・・・・」{2}


{1}
ヒューゴ
 「なんだと!」
(議員に近寄ろうとするヒューゴに警士が立ちふさがる)
警士
 「なんだとは、何かな?
  まったくグラスランドのヤツらは乱暴者が多い。」
 「ん?おまえ・・・・見覚えが・・・・」
議員
 「おい、いくぞ。」
警士
 「は、はい。」
ヒューゴ
 「くそっ、あいつら!」

{2}
ヒューゴ
 「・・・・・・・・・・・・・・・」
議員
 「おや、どうやら言葉が通じないと見える。
  はははははは。」
ヒューゴ
 「くっ」
リリィ
 「だめよ、ヒューゴ。
  ゴタゴタを起こさないでね。」
議員
 「ガキのくせに女連れとはな。
  どこのアバズレか知らんが、
  ロクなもんじゃなかろう。」
リリィ
 「ちょ、ちょっとぉ誰が・・・・」
リード
 「お、お嬢さん・・・・
  今、自分で・・・・・」
議員
 「さぁ、行くぞ。
  こんなところにいつまでもいると
  気分が悪くなる。」
警士
 「は、はい。」
 「あの・・・・あいつら・・・・・」
(議員達、去る)
リリィ
 「まったく、失礼しちゃうわね」
軍曹
 「ちょっとは成長しろよ・・・・・・」
リリィ
 「なに?何か言った?」
軍曹
 「さっきの、あの青年がここの長なのか?
  とりあえず、行ってみよう。」



◇城、入り口◇


セシル
 「まったく、何よ!
  あんたたちなんか、今度きたら
  この槍で、お尻つっついてやるんだから!」
軍曹
 「ずいぶんと、威勢の良いお嬢ちゃんだな。」
セシル
 「お嬢ちゃん?
  って、わたしのこと?」
軍曹
 「他に誰がいるんだよ。
  ずいぶんと、ものものしい格好してるけど
  なんだ?お祭りでもあるのか?」
セシル
 「お祭り?そんなのないよ。
  それに、この格好は制服です。
  このお城の守備隊の鎧です。」
ヒューゴ
 「きみみたいな女の子も、
  この城の守備隊なのかい?
  カラヤと同じだな。」
セシル
 「女の子もって、失礼だよ。
  わたしは、この城の守備隊長なんですから。
  それよりも、カラヤって
  グラスランドからのお客さんですか?」
リリィ
 「そうよ。
  わたしは違うけどね。」
セシル
 「じゃあ、トーマスさまに会いに来たんですね。」
軍曹
 「トーマスってのが、
  ここの城の長なのか?」
セシル
 「はい!
  すぐに知らせてきますからね!」
軍曹
 「お、おい、ちょっと待て・・・・」
リード
 「しかし、あの娘・・・・
  守備隊長って・・・・・・・・・?」
サムス
 「さぁ?」



◇館前◇


セシル
 「えぇ、やっとグラスランドから
  使者の人が来たんですよ!
  これで、成功するはずですよ!」
トーマス
 「ほ、本当かい?
  でも、そんなの聞いてなかったけど・・・」
セシル
 「当たり前じゃないですか、
  これが最初なんですから。
  でも、これからどんどん来るはずですよ。
  トーマスさまの言うみたいになりますよ。」
トーマス
 「そうかなぁ?
  それで、その使者の人たちってどこにいるの?
  館に通したの?」
セシル
 「あ・・・・・・・・」
トーマス
 「セシル・・・・・・まさか、また
  門に置き去りってわけじゃないよね・・・・・」
セシル
 「ご、ごめんなさい!
  すぐに・・・・・・・・・・」
軍曹
 「カラヤからの使者って、おれたちのことかな?」
セシル
 「あ!
  トーマスさま、あの人たちがさっきの・・・・」
トーマス
 「よくいらっしゃいました。
  ぼくがこの城の城主のトーマスです。
  よろしければ、中でお話をしたいのですが
  よろしいですか。」
ヒューゴ
 「おれは、カラヤクランのヒューゴ。
  よろしく。」



◇執務室◇


トーマス
 「では、こちらへどうぞ。
  ちょっと、ちらかってますけど・・・」
軍曹
 「そうだなぁ。」
トーマス
 「えぇ・・・すいません。
  それで、カラヤクランからは
  どのような出店をしてもらえるのですか?」
ヒューゴ
 「出店?????????」 (首を傾げる)
トーマス
 「えぇ、この城に新しい店を
  出してもらえるのですよね?」
ヒューゴ
 「??????????????」
トーマス
 「セシル・・・・・カラヤの使者の人だって
  聞いたの?」
セシル
 「え?????
  あれ?カラヤから来たって・・・・・」
トーマス
 「ふぅ・・・・・・・・・・・・・」
リリィ
 「なんだか、話が見えないわね。」
トーマス
 「ごめんなさい。この城では、いま
  財政を立て直すために、ゼクセン、グラスランド、
  無名諸国関係なく、店を出せる場所を
  提供しているんです。
  この城が、自由に商売をすることができる場所に
  したいんです・・・
  それで、出店をつのってるんですが・・・
  知りませんか?」
ヒューゴ
 「さぁ?」
リリィ
 「さっぱり。」
トーマス
 「そうですか・・・・・ふぅ・・・・
  まだまだ、だめだなぁ・・・・」
セシル
 「トーマスさま、ファイトですよ、ガッツですよ。
  がんばれば、なんとかなりますよ。
  だいじょうぶですよ。」
トーマス
 「ありがとう・・・セシル。」
軍曹
 「それで、おれたちの話に入っていいかい?」
トーマス
 「え・・・えぇ、すいません。
  はい、どうぞ。」
ヒューゴ
 「おれたちは、炎の英雄のあとを追っているんだ。
  それで、この城に炎の運び手のメンバーが
  かくれているって噂を聞いてきたんだけど・・」
セバスチャン
 「なんですってぇ!
  どこで、そんな噂が!!
  炎の運び手っていえば、
  グラスランドの盗賊団じゃないですか!
  それが、ここを隠れ家にしてるなんて噂、
  評議会に知れたら、いったいどうなることやら・・
  あああ・・そんな噂が広がってるのでしょうか?」
リリィ
 「さぁ。
  でも、ここが商売の自由地になるって話よりは
  広がってるんじゃないの。」
セバスチャン
 「そ、そ、そ、そんなぁ・・・・・
  ほ、ほ、ほらぁ、トーマスさま。
  いわんこっちゃないですかぁ
  すぐに、商売の自由地なんてのはやめましょう。
  こ、こ、こ、このままじゃあ・・・・」
トーマス
 「ごめんなさい。
  ぼくらは、炎の英雄のことは知らないし、
  炎の運び手をかくまったりもしてないんだ。
  でも、あなたがたはグラスランドから来た
  大事なお客様だ。しばらく、泊まっていってください。
  歓迎しますよ。」
セバスチャン
 「ちょ、ちょっとトーマスさまぁ、
  カラヤクランって言えば、グラスランドの中でも
  戦士の部族ですよぉ・・・・」
トーマス
 「セバスチャンさん。
  彼らは大事なお客さんです。
  ちゃんと、案内してあげてくださいね。」
セバスチャン
 「は、はぁ・・・・・・・」



◇宿屋◇


セバスチャン
 「こちらが、宿の受け付けになっております。
  お休みになるときは、
  わたくしに声をかけてください。
  お部屋にご案内します。」
サムス
 「宿???」
セバスチャン
 「え、えぇ・・・館のお部屋を使って
  宿屋もやっているんですよ。
  トーマスさまから、お代はけっこうと
  聞いていますのでご安心ください。
  本当は、一人50ポッチなんですけど・・・」
リリィ
 「ふぅ・・・・なんだか、大変みたいね。」
軍曹
 「しかし、手がかりがなくなったな。」


セバスチャン
 「いらっしゃいませ。あ・・・あなたがたですか・・・・
  お泊りになります?」
ヒューゴ
 「泊まる」{1}
 「宿代を払って泊まる」{2}
 「泊まらない」{3}


{1}
セバスチャン
 「あ、泊まりますか?
  はい、すぐにお部屋にご案内しますよ。
  ほんとは一人50ポッチなんですけどね・・・」

{2}
セバスチャン
 「ほ、ほんとうですか?
  えぇ、そりゃもう、こちらは
  文句なんかありませんよ。
  はい!一番良い部屋にご案内しますよ。」

{3}
セバスチャン
 「そ、そうですか。
  それでは、ご用ができましたら
  お呼びくださいませ。」



◇翌日◇


(ヒューゴ、伸びをする)
ヒューゴ
 「おはよう、軍曹。
  よく寝られた?」
軍曹
 「おう、しかしさっきから
  外が騒がしくってな。
  起きちまったよ。」
リリィ
 「ふぁぁぁ・・・なんなのぉ?」
リード
 「だからぁ、なんだか外が騒がしいって
  言ってるじゃないですか。」
リリィ
 「知らないわよぉ・・・
  もうちょっと寝てたかったのに・・・・
  あら、おはようヒューゴ。
  あんたたちも外の物音?」
軍曹
 「よく、寝てられるな。」
リリィ
 「ありがと、自信あるのよ。」



(館前でトーマスが議員ともめている) 


軍曹
 「なんだか、モメ事みたいだな。」
(ヒューゴ、頷く)
ヒューゴ
 「いったい、どうしたんだろう?」
議員
 「ほれ、そこを見てみるがいい!」
トーマス
 「何を、彼らは・・・・」
警士
 「そこの少年は、
  カラヤクランの族長の息子です!!
  先日、ビネ・デル・ゼクセから逃げ出したときに
  顔を見ていますから、間違いありません!!
  見つけ次第、つかまえるように
  手配書がまわっています!」
ヒューゴ
 「なにを・・・・・・」
トーマス
 「そうだ、失礼なことを言うな。
  彼らは、大事なお客さんだ。」
議員
 「ほう、そうなると、われらゼクセンの敵を
  かくまうというのですな。
  まぁ、頭を冷やして考えることですな。」
トーマス
 「くっ・・・・・・・・・」


ヒューゴ
 「なんだか・・・大事になってるみたいだね。」
軍曹
 「外は鉄頭たちでいっぱいだ。
  簡単には出られそうにないぞ。」
リリィ
 「あなたたち、何をしたの?
  手配書って・・・食い逃げでも?」
軍曹
 「そんなんで、大事になるかよ・・・・」



(館前、トーマスたち、相談してる)
軍曹
 「なんだい、この集まりは?」
セバスチャン
 「あ、あの、申し訳ないんですけど
  ここを出て、評議会の方のところへ・・・」
トーマス
 「セバスチャンさん!なんてことを・・・・
  ごめんなさい。
  安心してください、
  決してそんなことはしませんから。」
ヒューゴ
 「いったい、どうしたんですか?」{1}
 「おれたちがジャマってことだね。」{2}


{1}
ヒューゴ
 「いったい、どうしたんですか?」
セバスチャン
 「どうしたって、さっきの見てなかったんですか?
  あなたがたが、この城にいるから
  評議会と騎士団に、
  包囲されてみんなこまって・・・・」
トーマス
 「セバスチャンさん!
  ごめんなさい・・・失礼なことを・・・・」
軍曹
 「それはいいけど、くわしい話を教えてくれないか?」

{2}
ヒューゴ
 「おれたちがジャマってことだね。」
ジョアン
 「察しが良いじゃん。」
セバスチャン
 「おお、わかってらっしゃるなら
  話は早い。
  すぐにでもこの城を出て・・・・・・・・・・」
トーマス
 「セバスチャンさん!
  ごめんなさい、こんなことになっちゃって。」
軍曹
 「とにかく、どうしてこんなことに
  なってるのか教えてくれないか?」


トーマス
 「はい、昨日話した通りこの城では、
  ゼクセンもグラスランドも無名諸国も関係なく
  商売のできる場所を提供しようとしているんですが
  それがゼクセン評議会に認めてもらえなくて・・」
セシル
 「トーマスさまが、せっかく良いアイディアを出して
  がんばってるのに、意地悪するんですよ。
  ひどいですよね。」
ピッコロ
 「まったくじゃ。
  わしらの店をなんじゃと思っとるのじゃ!」
トーマス
 「いや、だから・・・・
  とにかく、昔の商売許可証があったので
  それをタテに商売の自由地を
  作ろうとしたんですが・・
  どうも、父に・・・いえ、評議会には
  気にいられなかったみたいで・・」
セバスチャン
 「で、ですから・・・・
  わたしたちを助けると思って、
  城を出て・・・・・・」
トーマス
 「セバスチャンさん!」
セバスチャン
 「で、で、でも、他にどうすれば・・・・・」
トーマス
 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



◇城の入り口◇


ゼクセン騎士
 「なんでも、
  お尋ね者が立てこもってるらしくてな、
  今は、通行禁止だ。
  すまんが、城にもどってくれ。」
ヒューゴ
 「おれがそのお尋ね者だ。」{1}
 「はい。」{2}


{1}
ヒューゴ
 「おれがそのお尋ね者だ。」
騎士
 「なんだってぇ?
  おまえみたいな子供が、お尋ね者???
  ちょっと待ってろ・・・・・・・」

議員
 「おまえが、カラヤクランの族長の息子か?」
ヒューゴ
(頷く)
 「あぁ、おれをつかまえたいんだろ。」
議員
 「ふうむ・・・・
  おい。」
警士
 「はい。」
 「ふーーーむ、ちがいますなぁ。
  おれの見たのはこんな顔じゃありませんでした。」
ヒューゴ
 「なんだって?どういうことだ?」
議員
 「まったく、お尋ね者のふりをするとは
  物好きもいたもんだな。
  おい、城に追い返せ。」
騎士
 「はい。わかりました。」
ヒューゴ
 「お、おい、ちょっと待て・・・・」

{2}
ヒューゴ
 「はい。」
騎士
 「迷惑をかける。
  すまんな。」
(会話終了)



(トーマスたち、まだ相談してる)
ヒューゴ
 「トーマスさん。」
トーマス
 「あ、は、はい。
  なんですか?
  すいません、ぼーーっとしちゃってて。」
ヒューゴ
 「おれたち、
  さっき外へ行ってきたんですけど・・」
トーマス
 「え?
  外って・・
  まさか包囲している騎士団のところへ?」
ヒューゴ
 「はい。」 (頷く)
トーマス
 「ど、どうして。
  ぼくたちは、あなたがたを引き渡したり
  なんかしませんよ。
  彼らの言いなりになんか・・・・」
リリィ
 「でも、追い返されたのよねぇ。
  あいつら、何がしたいのかしら?」
シーザー
 「そりゃ、そうだろ。
  おまえたちを引き渡せっていうのは、
  言いがかりにすぎないんだからな。」
トーマス
 「だ、だれ?
  いったい・・・・・・」
シーザー
 「まったく、こんなところで足止めくってるわけに
  いかないってのに、
  グズグズされちゃあ迷惑だってことさ。」
アップル
 「シーザー!
  どうして、そういう言い方しかできないの。
  もうちょっと、言い方があるでしょう。」
シーザー
 「はいはい。」
アップル
 「返事は1回。」
シーザー
 「わかってるよ。」
 「よぉ、城主さんや。
  おれはシーザー。
  こう見えても、軍師の血筋に連なる者でね。
  なんなら、知恵を貸すぜ。
  おれたちも、行くところがあるんでね。」

(シーザーを加えてトーマスたち相談)

シーザー
 「(中略)
  それから、そこのお尋ね者たち。」
ヒューゴ
 「おれたちか?」 (首を傾げる)
シーザー
 「そうだろう。
  脱出のための身支度をしてこいよ。
  その間に、他のやつらに作戦を
  指示しておくからな。」



シーザー
 「よぉ、帰り支度は終わったかい?」
ヒューゴ
 「あぁ。」{3}
 「城の人たちは?」{1}
 「あんたたち、だれ?」{2}


{1}
ヒューゴ
 「城の人たちは?」
シーザー
 「準備におおわらわだろう。
  作戦は明日にしたからな。
  あぁ見えて連中、結束はかたそうだな。
  やることが決まったら、すぐに動きはじめたよ。」
ヒューゴ
 「こっちの準備は終わった。」{3}
 「あんたたち、だれ?」{2}

{2}
ヒューゴ
 「あんたたち、だれ?」
シーザー
 「ある男の後を追って、ここまできて
  足止めをくってるかわいそうな旅人だ。」
軍曹
 「そりゃ、すまなかったな。」
アップル
 「すいません、この子。口が悪くて。」
リリィ
 「ほんとね。」
サムス
 「(あんたが言うか?)」
ヒューゴ
 「こっちの準備は終わった。」{3}
 「城の人たちは?」{1}

{3}
ヒューゴ
 「あぁ。こっちの準備は終わった。」
シーザー
 「それなら、宿で休むといいさ。
  準備があるから、作戦は明日にした。」
軍曹
 「そうかい。じゃあ、おれたちのやることは
  ないみたいだから、先に休むとしようや。」
(みんな歩き出すが、ヒューゴだけ動かない)
軍曹
 「どうした、ヒューゴ?」
ヒューゴ
 「なぁ、あんた。
  あのトーマスってのはゼクセンの・・・
  鉄頭の仲間なんだろ?
  なんで、あいつはおれたちをかくまったり、
  逃がしたりしようとしてるんだ?」
シーザー
 「へっ、それがそんなに不思議なら
  本人に聞いてみな。」
ヒューゴ
 「・・・・・・・・・・・・そうだな。」 (頷く)

(トーマスが通りかかる)
ヒューゴ
 「あの、ちょっと・・・・・・」
トーマス
 「ごめん、ちょと忙しいんだ。」


(宿で)
セバスチャン
 「おお、いらっしゃいましたか。
  わたくし、他にできることはありませんので、
  みなさんのために、
  お部屋を用意しておきましたよ。
  ぐっすり眠って英気をやしなってくださいませ。」
ヒューゴ
 「ありがとう。」 (→休む)
 「いえ、まだ用事が・・・」{1}

{1}
ヒューゴ
 「いえ、まだ用事が・・・」
セバスチャン
 「そうですか。
  明日は寝坊なんてことに
  ならないようにしてくださいね。」


リリィ
 「なんだか、妙なことになっちゃったわね。」
リード
 「でも、ここに炎の運び手がいるっていうのは
  ガセだったみたいですね。」
サムス
 「まぁ、そんなことだろうと思った。」
軍曹
 「どっちにしても、ここにいると
  迷惑がかかるようだし、明日はあのガキの言う
  作戦とやらにのって、脱出することにしよう。」
ヒューゴ
 「あぁ・・・・・・・・・」 (頷く)
リリィ
 「それじゃあ、わたしもう寝るわね。」
軍曹
 「寝坊するなよ!」
リリィ
 「わかってるわよぉ。」
軍曹
 「本当にわかってるんだろうなぁーーーー」
リリィ
 「はいはーーーい。」
軍曹
 「本当にわかってんのかなぁ・・・・
  じゃあ、ヒューゴ。
  おれたちも、もう休もうぜ。」
ヒューゴ
 「あ・・・・・・あぁ・・・・・・・・・・・」



◇執務室◇


トーマス
 「ふぅ・・・・・・・こんなものかなぁ・・・」
 「あ、ヒューゴくん。
  どうしたの?先に休んでいてもいいよ。
  セバスチャンさんにお願いしておいたから。」
ヒューゴ
 「トーマスさん・・・・・・・
  どうして、トーマスさんはおれたちを
  かくまったりするんですか?」
トーマス
 「どうしてって、どういうこと?」
ヒューゴ
 「だって、トーマスさんはゼクセンの・・・
  鉄頭の仲間のはずだろ?
  おれはグラスランドの・・・・・」
トーマス
 「鉄頭って・・・・あぁ、騎士団のことか。
  うーん、ぼくも組分けだと
  ゼクセンになるんだろうけどね。
  父親は評議会議員だし・・・・
  でも、母親は無名諸国の出身で、
  ぼくはずっとそこに住んでいたから
  あんまり、ゼクセン人という気持ちはないかな。」
ヒューゴ
 「そうか・・・だからですね・・・・・」
トーマス
 「でも、それはちがうかな。」
ヒューゴ
 「ちがう?」 (首を傾げる)
トーマス
 「うん。ぼくは、この城を
  ゼクセン人もグラスランドの人も無名諸国の人も、
  関係なく行き来する場所にしたいんだ。」
ヒューゴ
 「ゼクセンのやつらと仲良くするってことか?」
トーマス
 「無理に仲良くする必要はないよ。
  でも、お互いにもうちょっとお互いを
  知ってもいいと思うんだ。
  隣同士なんだしね。」
ヒューゴ
 「・・・・・・・・・・・・・・
  おれは、イヤだ・・・・・
  ルルを殺した、あいつらをおれは・・・・」
トーマス
 「そうか・・・ルルってのは友達?」
ヒューゴ
 「あぁ・・・・・・・・・・・」
トーマス
 「ぼくは、母親をグラスランドの盗賊団に
  殺されちゃったんだけどね。」
ヒューゴ
 「え・・・・・・・・・・」 (驚く)
トーマス
 「そろそろ、夜も遅いよ。
  部屋で休んだほうがいい。」
ヒューゴ
 「あ・・・・・・・は、はい。」 (頷く)



◇翌日◇


軍曹
 「よぉ、ヒューゴ。
  準備はOKか?」
ヒューゴ
 「あぁ。」
リード
 「ほら、お嬢さん。
  ちゃんとしてください。」
リリィ
 「ふああああ・・・・
  こんなに早いなんてぇ。
  きいてないわよぉ・・・」
サムス
 「(言ったって・・・・)」
軍曹
 「ふぅ・・・・・・・・・」



シーザー
 「よぉ、来たな。
  タイミングを見計らって合図するから、
  それが見えたら、脱出さ。」
軍曹
 「方法は?」
シーザー
 「あぁ、ここの道をそのまま歩いて脱出だ。
  なに、だいじょうぶ。
  評議会直属の部隊は、別の場所にひきつけておくし
  騎士団の方は、
  そろそろ引き上げるはずだからな。
  それより、そっちの準備はいいか?」
ヒューゴ
 「あぁ、いつでも。」 (→作戦開始)
 「ちょっと待ってくれ。」{1}

{1}
ヒューゴ
 「ちょっと待ってくれ。」
シーザー
 「このごにおよんで、ビビってる
  わけじゃないんだろう?」


(集団戦闘中)
シーザー
 「さあ、そろそろだ。
  行こうぜ。」
軍曹
 「行こうぜって?」
シーザー
 「もちろん、おれたちも
  一緒に行くんだよ。
  足止めをくらって、こまってるって言ってるだろ。」
セシル
 「が、がんばってね、ヒューゴさん、軍曹どの。」
軍曹
 「あぁ、またな。」
セシル
 「えぇ。
  騒ぎがおさまったら、いつでも来てくださいね。
  わたしもトーマスさまも待ってますから。
  あと、それから今度はお店を・・・・・
ヒューゴ
 「あぁ、母さんに相談しとくよ。」
リリィ
 「それじゃ、行くわよ!!」



◇ヤザ平原◇


アップル
 「ここまでくれば安心ね。
  久しぶりに走ったんで、つかれっちゃったな。」
シーザー
 「アップルさん。本ばっかり読んでるからだよ。
  運動不足さ。老けるよ。」
アップル
 「な、なによぉ。」
軍曹
 「無事に脱出に成功したけど、
  あの城の方はだいじょうぶなのか?」
シーザー
 「いくつか策は置いてきたけど、
  結局はあいつら自身の問題さ。
  やりたいことがあるのなら、
  自分の足で歩かないとな。
  人の命は有限さ。
  たすけてくれる人間が
  いつまでもいるわけじゃない。」
ヒューゴ
 「そうかも・・・・な・・・・・・」
アップル
 「シーザー、それはおじさんの本からの
  受け売りよね。」
シーザー
 「あぁ、アップルさん!
  バラさなくても・・・・」
アップル
 「さっきのお返し。」
リリィ
 「さーーて、これからどうする?
  手がかりなし。行き先もなし。
  おまけにお金もなし。」
軍曹
 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
シーザー
 「おれたちは、軍曹、
  あんたの村へ行ってみるよ。」
軍曹
 「何かあるのか?」
アップル
 「いえ、あなたの村に興味があるの。
  わたしの目的は、グラスランド、ゼクセン一帯の
  文化を取材することだから。」
軍曹
 「べつに、普通の村だ。
  取材することなんて、ないだろう?」
アップル
 「そうかしら?」
シーザー
 「まぁ、おれたちはそういうことなんで、
  ここでさよならだ。
  縁があったら、また会おうよ。」
ヒューゴ
 「あぁ、それじゃあな。」
軍曹
 「さて、おれたちはどうするかなぁ。」



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